これからの1000年を紡ぐ企業認定

[社会・地域貢献部門]

2023年度認定

株式会社向陵

代表:宮井 宏明

株式会社向陵

繊維へのプリントで、リサイクル率100%の生産体制を構築

水が汚れない転写捺染(なっせん)技術を用い、さらに、加工後の転写紙を再生紙やゴミ焼却場などの固形燃料として活用することで、リサイクル率100%の生産体制を構築しています。近隣の高齢者施設との意見交換や工場見学の受け入れなど、地域との共生に努めています。

次世代を担う人たちへのメッセージ

水を使わない環境負荷の低いエコプリントの実現、世界初の最新技術を活用した複雑な両面同時プリントへの取り組みを行う京都の小さな総合染色工場です

向陵が主力とする転写捺染技術は、色再現性が高く高精細でなおかつ水を一切使用しない環境負荷の低いエコなプリントです。
長尺の生地を連続してプリントする大型の連続転写捺染機3台は日本最大の加工量を誇ります。
加えて自社開発した独自機構の真空装置を備え、かつ両面同時にプリントが可能な真空両面同時転写捺染機を用いてハイブランドが要求する高付加価値のプリントを実現しています。
また世界初となる両面同時ダイレクトプリントの生産設備を日本で唯一導入し、新たな染色表現の開発にも取り組んでいます。
少し辺鄙な場所で小さな工場ですが、ハイテクノロジーで最先端の機械と職人が動かす重厚な設備が共存している姿はなかなか見所があると思います。
興味がある方はぜひ工場までお越しいただき向陵のプリント技術をご覧になってください。

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  • 経営理念

    持続可能で彩り豊かな社会の実現に貢献

    高品質で付加価値の高い加工の追求、そして納期の絶対遵守で顧客との信頼関係を構築し、持続可能で彩り豊かな社会の実現に貢献する。

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  • 社会課題の解決

    ポリエステルの加工ではゼロエミッション(廃棄物ゼロ)を達成

    〇大量消費、大量廃棄の社会的風潮や、一方向型の流通システムの普及などにみられるように、社会経済構造がごみ多量排出型となっています。将来にわたり安定した社会活動および経済活動を維持するためには、このような社会経済構造をごみの排出を抑制し、再生利用を促進するものに転換していくことが必要であると認識しています。

    〇技術を持った職人の高齢化、後継者の不在など長年に亘って継続性が危ぶまれてきた染色業界が、コロナ禍の影響により加速度的に事業者の廃業が相次いでいます。中でも伝統的な染色産業の衰退は深刻で、熟練が必要な職人をすぐに養成することもできないため、ものづくりの根幹が揺らいでいるといえます。

    ── どのような取組をしていますか?

    〇転写捺染は水を全く使用することなくプリントが完成するため、友禅やスクリーン捺染などの他の染色法と比べて環境負荷の低い染色方法です。唯一廃棄物となるのが染料を刷り込んだ転写紙で、転写紙は染色加工を行った後は紙とは言え残留染料があるためリサイクルに回すことが不可とされています。全国で一番の加工量を誇る当社の加工量からすると相当数の転写紙を廃棄することとなり、ゴミが増加する一端を担ってしまうこととなります。社会的な課題であるゴミの減量化に取り組む姿勢として、当社では加工後の転写紙を外部の業者に有償で粉砕圧縮を依頼し、ゴミ焼却場などの燃料として提供する取り組みを行っています。

    〇伝統的な染色業界の受け皿として、世界中でも希少で国内では唯一となる最先端の両面ダイレクトインクジェットプリンターを設備投資して導入し、従来のポリエステルのみならず絹や綿など多種類の素材に染色加工が可能となる事業体制を整えました。

    ── どのような成果が生まれていますか?

    〇他社では廃棄するのみである加工後の転写紙を資源活用できるような工程を確立することにより、ポリエステルの加工ではゼロエミッションを達成している。

    〇最先端の両面ダイレクトインクジェットプリンターを導入することで、他では加工が非常に困難な複雑な模様の両面プリントが実現し、両面をプリントすることによって従来のインクジェット捺染では実現し得ない深い色表現が可能となることで、職人の手業による染色と遜色の無い高品質な加工を確立することができました。伝統産業の受け皿としての役割と共に、次世代のものづくりにも寄与するものと考えています。

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  • 従業員・顧客・取引先への配慮

    労働者の健康を考え、月15時間以内の残業時間をキープ

    〇主たる事業である転写捺染加工の内容および、廃材のエコ活用の意義についての話を、月一回の朝礼で取締役営業部長が説明を行っている。
    〇隣の高齢者向療養施設の場長とのコミュニケーションの機会を定期的に設け、また工場内の見学や視察も受け入れて地域との共生がはかれるように努めている。
    〇月一回の朝礼にて、職場内におけるコミュニケーションや人権意識について取締役営業部長から説明があり、役職の上下年齢にかかわらず互いの挨拶を励行したり、上下年齢にかかわらず「さん」付けで呼び合うことなどを徹底するようにしている。
    〇月一回の朝礼にて、工場長より安全第一の呼びかけを行い、また夏場には空調服を支給し、1時間に1回水分補給及びクーラー休憩を設けて熱中症対策をおこなったり、工場内のフォークリフトの可動範囲を限定し、人と交わることの少ない導線を確保している。
    〇地域への影響および労働者の健康を考え、残業時間の制限を行い月15時間以内の残業時間をキープしている。

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  • 地域社会への配慮

    地域と共存可能な染色会社

    〇町内会へ参加し、体育振興に対する寄付を継続して行っている。
    〇当社工場は田んぼや住宅に囲まれているが、転写捺染加工は廃水を出さないため、地元住民と染色業との共存が可能となっている。

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  • 環境(未来の社会)への配慮

    廃材となる転写紙を固形燃料にリサイクル

    〇ゴミの減量化を追求し、転写捺染加工の工程にてそのままでは廃材となる転写紙(残留染料があるため古紙リサイクル不可)を外部工場にて粉砕圧縮を行い、ゴミ焼却場などで使用される固形燃料として提供を行っている。
    〇上記活動を写真や図を交えてHP で公開している。

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