[社会・地域貢献部門]
2023年度認定
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経営理念
文化を纏うことで、日本の伝統技術を守り、繋ぎ、承継していく
当社が運営するブランドrenacnatta(レナクナッタ)では、 「使われなくなった」デッドストック生地、「着られなくなった」日本の着物や呉服、 「作られなくなった」日本の伝統工芸などの技術や素材を組み合わせ、新しい命を吹き込んでいます。「文化を纏う」は当社のコンセプトです。文化を纏うことで、日本の伝統技術を守り、繋ぎ、承継していくことが当社の経営理念です。
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社会課題の解決
伝統産業の生産を止めず、職人に対等な賃金が支払われる環境を作り出すことができました
課題 1
アパレル業界は、シーズンごとに流行が移り変わるため、大量生産・大量消費を長く当たり前のものとしてきました。デッドストックとは、主にアパレル業界で使われており、売れ残りの洋服や服飾小物を表しています。アパレルブランドにとっても、環境問題とどう向き合い、具体的に何をしていくのかは非常に重要な課題です。売れる見込みのないデッドストックアイテムは、新品であってもそのまま廃棄されてしまいます。環境に負荷をかけてつくった製品を廃棄すれば、それは新たな環境問題につながります。対策として、アウトレット店やオフプライスストアを活用することで、消費者に対して積極的にアプローチしたり、生産・供給体制の見直しを行い、デッドストック問題解決への道を探る企業も増えていますが、アパレル業界にとって大きな課題の1つです。弊社では「使われなくなった」「着られなくなった」 デッドストックを活用をしているとともに、コレクションによっては受注生産などの体制をとることで廃棄品を出さないことに注力しています。
課題 2
日本の伝統産業は衰退の一途です。令和5年2月現在、国指定の伝統的工芸品は全国に237品目あり、京都には17品目があります。伝統産業は働く人々、つくられるものそのものの数も減少しており、減少衰退傾向が著しく斜陽産業と呼ばれています。厳しい状況にある原因として、生活様式の変化や海外からの安価な輸入品の増加などによる「需要の低迷」、「技能者の高齢化」、技術及び技能の高度化の進行、若者の働く場の不足による「人材・後継者の不足」といったことがあります。伝統産業や伝統文化を絶やさないことが大きな課題です。弊社では社用産業と言われる産業の方達と一緒にものづくりをすることで生産を増やす、生産を止めないことを大事にしています。またオウンドメディアも運営しており、その技術や職人の思いなどを記事としてまとめ発信しています。弊社を通して多くの人に知ってもらい、身に纏ってもらう。さらに身につけた人が別の人とのコミュニケーションでさらに多くの人へ伝統への知識や興味が広がることを目指しています。
── どのような取組をしていますか?
当社は、ブランド名の由来でもある 「使われなくなった」イタリアのデッドストック生地、「着られなくなった」日本の着物や呉服、「作られなくなった」日本の伝統工芸などの技術や素材を組み合わせ、そこへブランドのrenacnatta(レナクナッタ)のエッセンスを加え、新しいコレクションを企画し販売しています。
Dead Stock Collection
日本とイタリアのデッドストックを再活用した、リバーシブルなスカートとネクタイです。着物地に使用しているのは、日本で仕入れた絹の反物です。シルクは、イタリアを中心としたヨーロッパハイブランドなどのデッドストック生地を使用しています。
Kinsai Collection
イタリアの高級シルク・デッドストックと京都の伝統工芸の金彩を合わせた、イヤアクセサリーです。
Nishijin-ori Collection
西陣織でつくる、一生着られるウェディングドレスです。ドレスはトップスとスカートのセットアップになっており、西陣織の上にさらに繊細な手刺繍を施しています。刺繍はファッションデザイナーであり刺繍デザイナーの田中大資氏がデザイン。西陣織をシンプルに楽しみたい人には刺繍なしのセットアップもあります。
Tango Chirimen Collection
丹後ちりめんを使ったマーメイドスタイルの巻きスカートです。丹後ちりめんの生産は臼井織物さん。受け継がれてきた技術を活かして、ちりめんの新たな可能性を広げている織元さんです。
Kiryu-zaiku Collection
日本に古くから自生する柳の一種「コリヤナギ」で作られた伝統工芸品「豊岡杞柳細工」のカゴバッグです。
またオウンドメディアやSNSの運営を通して発信にも力を入れています。ただ伝統工芸をつかった商品をつくるだけでは価格も高くなかなか売るのが難しいのが現実です。弊社ではしっかりとその商品のつくられる工程や職人の思いなどを伝え、その商品の魅力に共感してもらえることを大切にしています。
── どのような成果が生まれていますか?
「Dead Stock Collection」や「Kinsai Collection」では、イタリアのシルクや日本の絹反物のデッドストックを再活用することで廃棄物の削減だけでなく、現在に受け継がれた普遍的な価値を守り、未来に残すことができました。「Nishijin-ori Collection」では、西陣織のドレス、ネクタイ、そしてマスクを生産したことで、西陣織の広幅(普通の反物より広い幅)を790m発注し、金額は3,530万円になりました。「Tango Chirimen Collection」や「Kiryu-zaiku Collection」では、伝統を承継している織元さんや職人さんとタッグを組んで、新しい商品を展開する事で、将来「作られなくなった」とならないように、伝統産業の生産を止めず、職人に対等な賃金が支払われる環境を作り出すことができました。
苦境にあえぐ伝統産業に対して、当社は「希望でありたい」
当社を通じて、「文化を纏うことで、文化を止めない。」
これが、当社の社会課題解決への成果です。 -
従業員・顧客・取引先への配慮
地域の就労継続支援B型事業所と連携して作業を進めています
取引先・消費者のニーズや期待を把握し、安全・安心な商品・サービスの提供に努めています。また当社内の取り組みだけでなく、生産工程に関わる取り組み先の代表や職人などの情報も消費者に開示することを心掛けており、生産の見える化に注力しています。また、サンプルの縫製や着物のほどきなどの作業は、提携先の地域の就労継続支援B型事業所と連携をして進めています。
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地域社会への配慮
「西陣織」「金彩」「丹後ちりめん」を活性化させ、伝統技術を承継していくために
renacnatta(レナクナッタ)は「文化を纏う」をコンセプトに、イタリアと日本の文化を組み合わせたアイテムを展開するアパレルブランドです。京都の伝統文化である「西陣織」「金彩」「丹後ちりめん」を活性化させ、伝統技術を守り、繋ぎ、承継していくために、「Nishijin-ori Collection」「Kinsai Collection」「Tango Chirimen Collection」と名称を踏まえた各コレクションを展開し、認知度向上、ブランド化に取組んでいます。取り組み先は年々増え、「焼箔」「漆」「宮殿」なども今年からの新たなコレクションとして加わりました。地域の伝統工芸が衰退する理由は、①伝統工芸品は売れない(儲からない)、②職人が「作る以外のこと」を行うことが難しい、③そもそも職人がいない(後継者不足)と考えられています、当社はこれら衰退する理由を解決するために、新たな商品を販売することを通じて、職人に適正な対価が支払われるように特に配慮しています。
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環境(未来の社会)への配慮
「れなくなった」素材や技術を組み合わせ、新たに蘇らす
当社のサービスは、ブランド名の由来でもある 「使われなくなった」イタリアのデッドストック生地、「着られなくなった」日本の着物や呉服、「作られなくなった」日本の伝統工芸などの技術や素材を組み合わせ、当社のrenacnatta(レナクナッタ)のデザインを加えることで、新しい命を吹き込んでいます。
私たちの生活環境の変化やテクノロジーの進化によって、伝統産業=文化は、衰退の一途をたどるばかりです。勿論、今の私たちの生活に必要ではなくなってきている、それに代わるものが生まれているのも事実です。しかし、それを理由に私たちの世代でなくしてしまうのは、あまりにももったいない。私たちは、先人たちが受け継いで、何百年もずっと守ってきた普遍的な価値=文化を閉ざすことなく、これからの日本に残していきたいと思っています。
そのために、普遍的な価値を持ちながら「れなくなった」素材や技術を組み合わせ、新たに蘇らすことで、デッドストックを削減し伝統産業を活性化させ文化を繋いで行きます。
『文化を纏う』
「文化を纏う」は当社のコンセプトです。文化を纏うことで、日本とイタリアの伝統技術を守り、繋ぎ、承継していくことが当社の提供価値です。