京都・三条で大人の社会科見学≪第二弾≫!認定企業2社(株式会社イワタ・株式会社マザーハウス)を訪問しました。

2025年12月5日、「これからの1000年を紡ぐ企業認定」の認定企業を訪れるツアーが開催されました!

百聞は一見に如かず。実際に仕事場を訪問する・されることで、改めて見えてくる企業の姿があるかもしれません。

今回は持続可能なものづくりをテーマに、こちらの2社にご協力いただきました。

  • 株式会社イワタ 代表取締役社長 岩田 有史さん
    • 「自然との調和を眠りから実現する」、1830年創業の京都の老舗寝具メーカー。自然素材や独自技術で高品質な羽毛布団やマットレスなどの寝具を国内生産し、人々の健康的な眠りを支えています。
  • 株式会社マザーハウス 店舗統括責任者 永田 健一朗 さん
    • 「途上国から世界に通用するブランドをつくる」を理念に、素材と職人の技に光を当てたモノづくりを展開しています。バッグや革小物、ジュエリーなどを中心に手がけています。

夜眠る前の準備から一日が始まる。京都発の老舗寝具メーカー・イワタ

最初に訪れたのは、“自然との調和を眠りから実現する”寝具メーカー・株式会社イワタの、寝具御誂(おあつらえ)専門店IWATA 京都本店。一人ひとりの身体に合う寝具を、オーダーメイドで仕立ててもらうことができる店舗の一つです。

参加者は、実際に各々の睡眠の状況や悩みに合わせた「御誂え」を体験したのち、代表取締役社長・岩田 有史さんより、イワタの事業内容や製品づくりに向き合う考え方を伺いました。

寝具は毎日の睡眠を、ひいては健康な生活を支える重要な道具。ただ決して安い買い物ではなく、また一度買えば数年〜10年程度は使い続けるため、なかなか「買うタイミング」がありません。そして買うタイミングが無ければ、おのずと「試すタイミング」も無く、放置されがちなのが睡眠の悩み。

参加者それぞれに気になることがあるようで、ぜひこの機会にとベッドごとの寝心地を比べてみたり、専門のスタッフに相談したり、勢いが止まりません。イワタがこだわる自然素材の力や、寝具は単体ではなく組み合わせが重要であることなどを、身をもって体験。大人の好奇心が刺激されるひと時となりました。

続いて、社長・岩田さんによるお話では、持続可能性と時を越えて愛される品質を両立するものづくりやその背景となる考え方を伺いました。

イワタは従来の「買って、使って、捨てる」という単線的な消費モデルではなく、メンテナンスによる長寿命化、仕立て直しによる再生を通じて循環するモデルを実現しています。その背景には「天人合一」という、東洋思想に由来し、自然と人間の暮らしの同調を目指す考え方があります。これを現代社会で企業活動によって実現するために、サーキュラーエコノミーの実践に取り組んでおられます。

岩田さんの語りの中で「夜眠る前の準備から一日がはじまる」という言葉がありました。

頭で分かっているつもりでも、忙しさからついつい睡眠を犠牲にしたり、疲れ果てて良くない環境で寝てしまうこともあるのが日常。それでも、「良い明日を迎えるため」と心の捉え方を変えれば、眠ることに前向きになれるのではないでしょうか。

ただ機能が優れた寝具をあつらえるだけではなく、睡眠に向かう心まで考えるのは、子どものころから仏教の教えが身近にあった岩田さんらしい姿勢なのかもしれません。

ものづくりを通じて、お金や技術だけではない支援を。株式会社マザーハウス

続いて、歩くこと5分ほど。訪れたのは“途上国から世界に通用するブランドをつくる”株式会社マザーハウスの京都三条寺町店と京都三条メンズ店。

鞄をはじめとするレザークラフトに加え、ストールやジュエリーなどを販売し、デザイン性と機能性の両方に優れていると評価の高いマザーハウス。ブランドを知っている人はもちろんのこと、製品を使っている人も多いのではないでしょうか。

来年3月に20周年を迎えるマザーハウスは、京都の地で店を開いて8年目。今回は、店舗統括責任者である永田健一朗さんにご案内していただきました。

「製品をどこに、どんな風に置くのかには、メッセージが込められている」

言葉にすると自明に思えますが、このことを改めて意識させられたのが、京都三条メンズ店のお店づくりにまつわるお話でした。

書斎をモチーフにつくられたというメンズ店では、京都の素材や技術を使った什器が使用されています。その一つが600年もの歴史をもち「京都府の木」に選定されている、北山杉を使用したテーブルです。

永田さんも実際に北山地域の生産の現場に足を運び、杉林や作業現場の様子を見て回り、お話を伺ったんだとか。単に「伝統や文化を残す」のではなく、「今の時代の価値観に照らし、価値があるとみなされ、残る」ようなものづくりを追求する姿勢に共感したといいます。

お店も製品も、使われることで、価値が衰えるよりむしろ育ってゆく。お客様と一緒に育てていくものである。そんな考え方を感じるお店づくりでした。

「いちばんお気に入りの商品はなんですか?」と、ある参加者から質問が。

永田さんは、「どの商品にも思い入れがあって、選び難いのですが…」と少し間を置いてから、その日も背負っていたリュックサックを紹介してくださいました。

それは、自然からインスピレーションを受けた「カゼマトウシリーズ」の一作。質問を受け、終始にこやかな様子で、ほんとうに好きなものに囲まれて仕事をしているのが伝わってきます。聞いているこちらも、やっぱりなんだか嬉しい気持ちになりますね。

今回は私自身大学生という、社会人経験のない立場で同行しました。だからこそ、参加者の皆様とは少し異なる印象を得たのではないかと思っています。

先述したような、それぞれの会社の「持続可能なものづくり」を追求する取組に関して感銘を受けたのはもちろんですが、実は一番の衝撃は別のところにあったのです。それは、

「経験を重ね熟練した社会人って、かっこいい…!!!

という、とてもシンプルな考えでした。立場は違えど、自分の仕事をよく知り、愛情深そうに語る真剣なまなざしが、皆さんとても魅力的だったのです。

そして参加者の方々も、短い時間ながらそれに呼応するように、現実的な問いや意見を交わしておられました。これが大人の社会科見学か…と背筋が伸びる気持ちでした。

私は「3年以内の離職率が高い」と言われ、「転職するのは当たり前」という価値観を持ちながら、目下就職活動をしている世代です。上手くいかない、心地よくないことは向いていないとして、やめて次へ行くことへの躊躇いが少ないと思います。でも、自分の向き不向きに左右されるだけでは、彼らのかっこよさには至れないかもしれない。

このツアーは第一に、認定企業の皆様どうしが交流し、協働の可能性を模索する機会ですが、私たち学生には働くかっこいい大人に出会い、触発される機会だと感じます。

会社員、行政職員、学生、経営者など、多様な主体の混ざり合いが、それぞれにどんな影響をもたらしてゆくのか、今後の展開が気になります。

次回もぜひご参加ください!

河南碧衣

河南碧衣

2025年4月よりお茶の水女子大学3年生を休学し、10年暮らした京都・宇治に1年間Uターン移住。言語による表現のうち「手紙」をメディアとして役立てることの可能性を提案するプロジェクトを立ち上げ、京都をフィールドに実践中。