2025年度、第一回「これからの1000年を紡ぐ企業認定」制度説明会を開催しました!

2025年7月25日、第一回「これからの1000年を紡ぐ企業認定」制度説明会を開催しました!

今回は認定企業3社にゲストスピーカーとして登壇していただき、認定を受けた経緯やその後の歩み、今年立ち上がった認定企業コミュニティ「なんも1000」の魅力など、語っていただきました。

  • 有限会社シサム工房 管理部門統括 村上 雅敏 さん
    「お買いものの力で思いやりに満ちた社会をつくる担い手となる」をビジョンに掲げ、フェアトレードを軸に衣料品や雑貨を展開する京都発祥のライフスタイルブランドです。
  • 株式会社水星 HOTEL SHE, 統括Manager/Designer 岸 えりな さん
    「観光とライフスタイルの新しい選択肢をつくる」ホテルプロデュースカンパニー。ホテルをメディアと捉え、宿泊という体験を通して価値観や文化を伝える空間を創り出しています。
  • 株式会社マザーハウス 店舗統括責任者 永田 健一朗 さん
    「途上国から世界に通用するブランドをつくる」を理念に、素材と職人の技に光を当てたモノづくりを展開しています。バッグや革小物、ジュエリーなどを中心に手がけています。
  • SILK イノベーション・コーディネーター 中村 友美
  • SILK イノベーション・コーディネーター 橋本 勇人

会場協力:傍楽

SILKと「これからの1000年を紡ぐ企業認定」

実は、こういった説明会を開催するのは10回目となる今回が初めてです。この10年で「ソーシャル」という言葉がビジネス界に浸透し、企業の社会貢献への取り組み方が変わってきました。

よりオープンに「これからの1000年を紡ぐ」というメッセージを届け、事業者の皆さまと一緒に、認定制度のあり方や支援の内容を考えていきたい。そんな思いで、説明会の開催を決めました。

1000年続いてきたまち・京都だからこそ、この先に続いていく1000年をまなざし、未来を紡いでいくために今の社会に必要な取組を応援します。

ここからは、コーディネーター・中村がモデレーターを務め、認定企業の皆さまとのトークセッションに移ります!

認定企業とSILK、ゆるやかな連帯で未だ見ぬ可能性をひらく

― まずは、「認定企業のみなさんとSILKの価値観や取組が、どのように重なりあっているのか」というところから、互いの関係性を探っていこうと思います。

永田:そうですね。「社会性と経済性の両立」という点が、まさにマザーハウスの目指すところとの重なりだと思っています。個人的には、素敵な大人たちと出会えるところも嬉しいポイントですね。

:水星の代表はまだ20代で、大学生の時に起業した会社なんです。当時は学生起業がブームとしてありましたが、その多くは東京にあり京都や関西圏では少なくて。同じような思いをもって活動している人が少ないなかで、メンタル的にも支えになったのではと思います。

村上:確かに、SILKの皆さんは何を話しても共感し関心を持ってくださるので、安心感をもって幅広く相談をしやすい関係性だと感じています。

― SLIKも「コミュニティの中の一員」くらいの感覚を持っています。肩書によらず、関わる人みんなが自然に主体となって動いている気がしますね。

永田:同年代の人で地域や社会課題に関心をもって活動をしている人とは、気づいたら仕事や政治の話題などを真剣に語り合っていたりと、隔たりがない感じがします。何かあったときに話せる、熱量高い話が浮かない関係性があることは心強いです。

:私も、京都というフィールドで活動している若い世代の方々と、課題感を共有しながら一緒に取組を進めていけることがすごく楽しみなんです。最近は採用の間口を広げることや、より働きやすくする環境づくりに力を入れています。

村上:「○○しなきゃ」と意図的に起こそうとしたことではなくて、自然に「こうなったら面白いんじゃないか」と思ってシェアしたことが実現に繋がるケースが多いと感じます。

―皆さんはこれから、どのような取組をしていきたいと考えておられますか?

村上:一つは「偏愛を語る」ことです。面白い取組をしている企業や団体に、自分たちの事業に対する愛情を存分に語っていただく。それを聞くのは本当に楽しく刺激になると思います。シリーズ化していきたいですね。

今認定企業は113社。私自身一度もお話をしたことのない企業もたくさんあります。せっかく認定を受けたのに、Webサイトにロゴマークを載せるだけになってしまったらもったいない。密な交流ができる土壌を活かして少しでも輪を広げていけたらと思います。

:私は京都の大学を卒業し、そのまま京都に住み続けたかったのですが、新卒採用をしている会社が少なく選択肢がなかった。仕方なく断念して大阪へ行きました。

だからこそ、京都の大学生たちにこういう会社があるよ、ともっとアプローチしていきたいと思っていて。認定企業が連携してインターンシッププログラムを作ったり、大学と連携したりなどしていけたらと考えています。

ー めちゃめちゃいいですね。教育事業ならマザーハウスさんとも重なるかも。

永田:それはほんとうにやりたいです!一社だけでやろうとすると、中小企業が多い中で人員や時間をどれだけ割けるか、興味を持っている学生がそもそもいるのかなど、懸念することもあります。でももう少し気軽に学生さんが、「京都で働くことを体験してみる」ための活動なら取り組みやすいのかなと。

村上:ソーシャルな活動をしているというと、「真面目」や「意識が高い」といったネガティブなニュアンスで捉えられてしまうこともあります。でも一社だけでなく色々な企業と取り組むことでひとつのムーブメントとなれば、より多くの人を巻き込んでいくことができます。そこにひろがる未だ見ぬ可能性を面白がっていけたらと思います。

―まさに、「曖昧さを楽しむ」ですね!

想いで共鳴し、ともに歩む。三社三様のストーリー

最後に、今回ゲストとしてお招きした認定企業3社に、自社での取組や、SILKとの関わり方についてそれぞれの立場から伺いました。

はじめにお話しいただいたのは株式会社マザーハウスの永田さん。認定までの背景を次のように語ります。

「2010年ごろから調査を始め、2017年にやっとの思いで出店にこぎつけるまで、候補地の選定など京都市にサポートをいただきました。出店前からの関係性もあり、また会社として認定に対し共感する部分も多く『社会性とビジネスの両立』や『ステークホルダーに対する配慮』を評価していただき、第四回(2019年度)に認定を受けました」

マザーハウスの基幹製品である鞄は移動するためのもの。それゆえコロナ禍では事業が止まりお店の存続自体が危ぶまれました。そんなとき、自宅にいても楽しめるものをつくろうと生まれたのが、同じく「これからの1000年を紡ぐ企業認定」の認定企業であるDari K 株式会社とのコラボレーションでした。関係性があったからこそ生まれた機会だったといいます。

またコミュニティを通じて、会社の中だけではどうしてもつくることの難しい、新卒などの若い世代どうしの交流の場を持つことができ、地域との繋がりが生まれているそうです。

マザーハウスのフードブランドLITTLE MOTHERHOUSEより、Dari Kと共に開発された「Yoru-iro DARK CHOCOLATE(ヨルイロ ダークチョコレート)」シリーズ。

次に、第五回(2020年度)に認定企業となった株式会社水星の岸さんは、

「ホテルを観光のためだけに使うのではなく、社会課題を解決するための場所として使う可能性を探りながら、事業を展開しています。社会課題とビジネスを繋いでいるところで共感し、応募しました」

と語ります。水星は2022年に、新しい命を授かるすべての家族のための産後ケアリゾートとして「HOTEL CAFUNE」を開業。実家に頼るか、自力で頑張るかの2択しかなかった産後の過ごし方に、「産後ケアホテル」という第3の選択肢を提案しました。お母さんをケアすることで、家族みんなのスタートをよりよいものにしています。

また、HOTEL SHE, KYOTOでは昨年、詩人・最果タヒさんとのコラボレーションによる特別客室を展開。SILKと連携しながら、地域の店舗(銭湯、クリーニング店、花屋など)とのイベントも同時に実施しました。

「最果てにある旅のオアシス」をテーマにリニューアルオープンしたHOTEL SHE, KYOTO。「旅のすべてが詩だったら?」をコンセプトにホテルを飛び出し、周辺地域にも「謎の広告」を展示した。

最後に、第一回で認定を受けたシサム工房の村上さんは、約10年の歩みを次のように振り返ります。

「私たちが認定されたのは第一回目。前例がなく、この取組がその後どう展開していくのかは分かりませんでした。しかし社会課題をビジネスの手法で解くという考え方は、まさにシサム工房が取り組んでいることだと思い、応募しました。

そこから10年認定企業として活動をしていくなかで、一番大きかったメリットは認定企業との交流の機会でした。共創の感覚を共有し、親しくも刺激を受けられる、フラットな横の繋がりが魅力だと思います。今まで関わりのないジャンルの新しい取組の機会に繋がっています」

さらに、「なんも1000」という自主コミュニティについても語ってくださいました。

「このネーミングは、何かをしようとしなくても、認定企業と交流したり話をしたりしているだけで、貴重な体験ができたり自然発生的なコラボレーションが生まれるという考えから。ユーモアをもって、一緒に何か面白い企画していこう、と自然とひろがっていくんです」

「なんも1000」は今年の2月に発足し、企業の取組を互いに知るための交流会等を企画しています。並行して若者の集い、SOU-MUプロジェクトなど、経営者以外の人が交流をしあう場もひらかれています。

シサム工房では2021年秋冬アイテムより「エシカルメンズ」と称して男性向けのファッションアイテムを展開。これまで女性中心だったエシカル分野に、男性向けの選択肢を増やしている。

「1000年を紡ぐ」という考え方を共有したコミュニティだからこそ生まれる、一社ではできない可能性の広がりが「これからの1000年を紡ぐ企業認定」を中心に生まれています。

経営者だけでなく、多様な世代、役割の人、皆が主役です。ぜひ、積極的に関わっていただければと思います!!

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募集の詳細はこちらの記事をご覧ください。

説明会の様子は、動画でもご覧いただけます。

動画へのリンクはこちら

河南 碧衣

河南 碧衣

TRAVERSE PROJECT 代表
2025年4月よりお茶の水女子大学3年生を休学し、10年暮らした京都・宇治に1年間Uターン移住。言語による表現のうち「手紙」をメディアとして役立てることの可能性を提案するプロジェクトを立ち上げ、京都をフィールドに実践中。