液体輸送の課題解決に取り組み、あらゆる液体のラストワンマイルを届ける「FUKUDA」

株式会社FUKUDAさんは今まで培った経験とノウハウを活かして、残量検知と自動配送システムを開発。化石燃料が使われなくなる将来を見据えて、あらゆる液体輸送の課題解決に取り組まれています。

お客様のお困りごとをワンストップで解決

── 御社の事業について、教えてください。

福田さん:株式会社FUKUDAは近畿2府4県を中心に、自動車などで使用される潤滑油の卸売販売を行っています。社員一人ひとりが“お客様にプラスになることを! 毎日一つプラスになることを! ”“PLUS ONE MORE”を合言葉に、それぞれの立場で地域社会やお客様に還元していける企業を目指しております。

── 潤滑油(エンジンオイル)卸売販売とのことですが、お客様からはどのようなニーズを聞かれますか?

福田さん:お客様からは、「重量物の移動や持ち運び、危険物管理による社員の負担を軽減したい」「業務発注を効率化したい」「環境負荷を減らしたい」など、現場における課題や要望が多数寄せられます。FUKUDAには、お客様の声に耳を傾け、豊富な知識と経験をもとに築いてきた独自の営業スタイルがあります。オイル販売・保管から廃棄までを地域密着型で支える「ワンストップサービス」で、お客様の「困った!」を解決するお手伝いをしています。

ドラム缶を減らし、環境に配慮したIBCローリーサービス

── 独自の営業スタイルから生まれたサービスがあると伺ったのですが、どのようなサービスでしょうか?

福田さん:当社では、営業・配送・保管・回収のワンストップサービスでお客様をサポートし、お客様にプラスになる、安全管理を徹底したより良いご提案を行っております。face to faceで1件1件細かな対応を行い、顧客の声を社内で共有できる体制を作っています。すると、多くのお客様から、ドラム缶の運搬で腰や肩を痛めたという声があがっていることがわかりました。潤滑油を扱う作業におけるお客様の課題を改善したいと思い、2012(平成24)年にIBCコンテナによるエンジンオイルの量り売りサービス「IBCローリーサービス」を開始しました。

──「IBCローリーサービス」は、2020年2月に特許認定されているのですね(特許番号 第6666074号)。また、「IBCローリーサービス」のノウハウを活用したシステムも導入されていると伺っておりますが、どのようなものですか。

福田さん:ICTを活用したオイルの残量検知システムを導入し、業界初のサービスを展開しています。お客様のオイル残量が弊社に共有されるため、残量が少なくなったタイミングで、オイルの販売提供に伺えるという仕組みです。お客様の手間を省くことができ、オイルが不足するリスクも避けられます。また、1回使用するとゴミになってしまう200Lドラム缶や20Lペール缶での販売をやめ、現在はビール瓶や牛乳瓶のようなリターナブル方式のIBCコンテナを使用しています。車両にIBCコンテナを搭載し、顧客先のオイルタンクにオイルを補充するように変更したので、ドラム缶の運搬が不要になりました。

── これらのサービスによって、どのような課題解決につながったのですか?

福田さん:容器代金の削減に加え、重いものを運ぶ作業を減らすことで労働環境を改善し、お客様の利便性向上を実現することができました。ゴミの削減により、環境負荷の低減にも貢献しています。

── 労働環境の改善、環境負荷の低減は、どの企業においても取り組まざるを得ない喫緊の課題であり、(株)FUKUDAさんの事業に期待される企業は多いのではないでしょうか。

化石燃料が使われなくなる将来を見据えて

── 今後の展開について教えてください。

福田さん:弊社は2020(令和2)年8月に、創業50周年を迎えました。近年、新車販売台数が減少して自動車関連市場も転換期を迎えていますが、他社が思いつかないような仕組みやサービスをさらに構築し、次の100周年を目指していきます。化石燃料が使われなくなる将来を見据えて、自社開発した残量検知と自動配送システムを活かし、あらゆる液体輸送の課題解決に取り組んでいく予定です。

果汁や薬品、温泉水などの液体重量物の輸送においては、配送遅延や未着問題が度々発生し、多くの人や企業が困っています。こうした問題は、顧客に届く直前のところ、ラストワンマイルで頻繁に発生しています。液体輸送の課題解決に取り組み、誰もが必要とする液体にアクセスしやすい社会を目指していきたいと考えています。

── エンドユーザーに届くまでのラストワンマイルにおける課題解決は、(株)FUKUDAさんが今まで培ってきた「お客さまのお困りごとをワンストップで解決」する力が最も活かされる場面ではないでしょうか。化石燃料の将来を見据えて技術開発を行う(株)FUKUDAさんだからこそ、実現できることだと感じます。ご協力、ありがとうございました。

福田 喜之(ふくだ よしゆき)

1970年生まれ。滋賀大学経済学部卒業。大学卒業後、京都日産自動車株式会社へ入社し、営業部門を4年間歴任。1998年8月家業である株式会社福田商店へ入社し、2005年12月代表取締役に就任。2006年3月に商号を株式会社FUKUDAに変更した。2012年2月に業界初「IBCローリーサービス」による潤滑油の量り売りの導入により2012年2月京都市「オスカー」認定、2013年3月京都商工会議所「知恵ビジネスコンテストビジネスプラン」認定、2013年9月京都府「知恵の経営」実践モデル企業の認証、2013年12月中小企業庁よりがんばる中小企業300社選定、2015年2月近畿経済産業局より新連携事業認定を受ける。