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経営理念
世のため、人のためで、おもしろく。
「世のため、人のためで、おもしろく。」という価値観を大事にしています。どれだけ儲かっても、世のため人のためになっていないのであれば、それは私たちがやるべきことではないと思っています。
これは「宿泊施設の数を増やすことで儲けることができたとしても、その一方でまちをホテルだらけにしてしまうことで地元の人に歓迎されないのであれば、それは持続可能な観光ではない」という経験からたどり着いた理念です。地元の人たちが「またホテルができるんやって・・・」と馴染みの景色が変わっていくことに対して悲しそうに話をする姿を見て、自分がお世話になっている目の前の大切な人たちを悲しませてはいけない、と感じました。これが「世のため、人のためになる仕事をしなければいけない」と心から思ったキッカケです。
"おもしろく”というのは、世のため人のためを想うがあまり、自分たちが楽しめていないようではそれも良くないと考えるからです。また、自分たちが楽しむだけでなく周りの人たちも楽しくなる、楽しませることも大事だと思っています。そのためには”おもしろく”という価値観がとても大事です。
観光を軸とした事業で、人々が出会い、交流する機会を持続的に創出することで観光の意義を最大限に見出し、京都に関わるすべての人が観光に対してポジティブな気持ちを持って、「楽しさ・おもしろさ」を感じる世の中をつくっていきます。 -
経営理念に基づいて、具体的に取り組んでいること
「地元住民」と「旅行者」の交流を自然に生み出すSIGHTS KYOTO
旅行会社勤務を経て京町家の一棟貸し宿の開業で独立しましたが、「宿泊者しか入れない」「地域の方が入れない」場所をつくってしまっていることに違和感を覚え、両者を受け入れられてかつ交流を生む場所をつくる必要性を感じ、2022年春にSIGHTS KYOTOを開業しました。
SIGHTS KYOTO開業時の大きなコンセプトは、「地元住民」と「旅行者」の交流を自然に生み出すこと。自分たちにできることで京都の持続可能な観光を実現するためにまず第一に大事だと思ったのが、偶然居合わせた両者の間に"共感"や"尊敬"の気持ちが生まれる瞬間をどれだけつくれるかでした。地元住民も旅行者も、そして旅行だけでなくお仕事で来られた方でも気軽に立ち寄り利用してもらえるよう、1階にパブ、2・3階にはコワーキングスペースとミーティングルームという機能をつけました。パブを併設しているコワーキングスペースは他になく、一見「そんなものの需要があるのか?」と思われそうな組み合わせですが、夕方までミーティングルームで会議していた方々がそのまま下のパブで交流していたり、ビジネスの交流会を開催したり、お仕事後に飲んでいたら偶然居合わせた海外旅行者と仲良くなって気づけば京都のオススメを案内していたり…と国籍も立場も違う方々との出会いを楽しんでいただいています。
パブの雰囲気とお酒があることでお互いの心がオープンになり、オンラインが便利になった今の世の中だからこそリアルな人と人の交流の時間が重要だと思い、イベントや交流会といった形でも価値を提供しています。
京都の観光事業者でありながら地元住民である自分たちだからこそ、地元と観光、そしてビジネスの方々に対しても開かれた場であること。そして利用者にとって楽しく、おもしろい(勉強になる、という意味も含めて)時間を過ごしてもらえるようスタッフも明るくポジティブな姿勢を常に心がけ、「入りにくい」と感じていた京都のイメージが少しでも「フレンドリーでおもしろい!」とプラスになっていけばいいなという想いで日々お客様をお迎えしています。 -
今後のビジョンや展望など
自社の事業を集約・拡大したSIGHTS HOTELの開業をめざします
世界有数の人気観光地でありながら、人口減少や空き家問題、オーバーツーリズムなど京都の中でもいくつもの社会課題を抱えるこの東山区で SIGHTS KYOTO を拠点に、それら社会課題に向き合う公民連携プロジェクト「UPCYCLE LIFE HIGASHIHYAMA」の活動を拡げていきます。
また、今後は旅行者だけではなくビジネス目的での来訪者の方も地域に、そして SIGHTS KYOTO に増やしていきたいと考えています。東京や大阪の国内の企業、そしてグローバル企業がSIGHTS KYOTOをキッカケに京都へ企業進出する、という事例をどんどん増やしていきます。京都市の企業誘致の部署とも連携し、さらに多様なジャンルのビジネス・企業を京都に集めていくことが京都の未来につながると思っています。世界各国からの京都視察の入口としての認知も広げていき、弊社の旅行業としての強みを活かした視察研修プログラムの開発も行っておきます。
2030年には自社の事業を集約・拡大したSIGHTS HOTELの開業を目指し、多種多様な方々にとっての京都拠点をつくります。 -
取り組みにより、どのような社会的インパクトを起こしてきましたか
京都にビジネスの拠点を構えたい方々の入口に
SIGHTS KYOTOでは地元住民と海外旅行者の交流が生まれ、偶然居合わせた地元の方が海外旅行者にオススメの飲食店や観光スポットを案内するという流れができました。「日本に来て現地の人とこんなに交流したのは初めてで、旅行で一番の思い出になった。」とご意見をいただくことが多く、開業2年でGoogle Mapのクチコミ124件で4.8という高得点を獲得しました。
また、コワーキングスペースでは京都市ソーシャルイノベーション研究所 SILKをはじめ9社(そのうち1社はグローバル企業)が法人登記している他、東京や大阪の企業が法人契約をして京都進出するなど、京都にビジネスの拠点を構えたい方々の入口としての認知が広まってきています。法人登記をしているメンバーの中には、京都市と連携しているまちづくり事業「UPCYCLE LIFE HIGASHIYAMA」でお試し居住として来られて実際に東山区に移住された方が1名、すでにいらっしゃいます。 -
今後のビジョンや展望により、どのような社会的インパクトが期待できますか
SIGHTS KYOTO 「京都流イノベーション」をハブに
SIGHTS KYOTO 開業時は旅行者と地元住民を集めることに重きを置いていましたが、3年目を迎えスタートアップや社会起業家、VCなどにもこの価値を広めていき、より多様なジャンルの方々を集めていきたいです。2024年7月に京都で開催された日本最大級のスタートアップカンファレンス IVS KYOTO 2024のサイドイベントとして、SIGHTS KYOTOで行われた交流会をキッカケに東京のベンチャーキャピタルが法人契約をし、京都に進出しました。
長い歴史を誇る京都には伝統的なモノや技術だけでなく、京都ならではの思想や精神性が受け継がれています。京都は、人と出会い、心を通わせ、人間力や心を磨くことで事業への発想を一段上げるということが実現できる街です。これは東京など他の都市にはないビジネスの考え方だと思いますが、これからの時代に最も重要なことです。だからこそ京都という街に多様な方を集めて交わらせ、互いに刺激を受け合うことで「京都流イノベーション」を生み出していきたい。そしてSIGHTS KYOTOをそのハブにしていきます。 -
従業員・顧客・取引先への配慮
人と人とを繋げる役目を担っています
従業員など社内の人間だけでなく、取引先や関係者など社外の方を巻き込んだ経営を重視し、対話を通して相互理解を生み、絆を深めています。
現在SIGHTS KYOTOでは自社企画のイベントよりも、取引先や関係者の方が企画するイベントや交流会の方が多く開催されており、弊社は京都という街やそのジャンルへの窓口・入口としての役割、そして人と人とを繋げる役目を担っています。また、イベントや交流会のときだけでなく常日頃から、SIGHTSに居合わせた方々が相互により良い関係性が生まれるような空気づくりを意識し実践しています。
旅行会社として造成・販売しているツアー「1/KYOTO」は、弊社が厳選した京都人との対話から京都に息づく心や精神を持ち帰ってもらいたいという想いから生まれました。私たちも対談者とゲストどちらに対しても責任を持てるよう、ツアー造成前にそれぞれの対談者との対話の時間を何度も重ねています。 -
地域社会への配慮
地元の方や旅行者に向けてメイドイン京都の魅力を伝えています
KYOMACHIYA-SUITE RIKYU、SIGHTS KYOTOともに、京都ブランドのアイテムを多数使っています。
RIKYUではベッドなどの寝具をはじめ、パジャマや急須などの備品もメイドイン京都で、ゲストに手交するガイドブック内でも各店舗・ブランドの案内をしています。
SIGHTS KYOTOでも備品はもちろん、パブで提供するクラフトビールやお茶、コーヒーなどのドリンク類も京都の企業のものです。また、各企業とのタイアップや交流も積極的に行い、地元の方や旅行者に向けてメイドイン京都の魅力を伝えています。
また、弊社は飲食店ではないためお食事についても近隣の飲食店をご案内しており、関係性を大事に、協力し合っています。 -
環境(未来の社会)への配慮
京都に息づく心に気づき学ぶ機会を提供する「1/KYOTO」
運営する施設は、どちらも伝統建築の京町家を改装して活用しています。
そして、今後まちづくり事業においてもそのノウハウを活かして同じように京町家を改装し、京都進出する企業にオフィスとして利用いただけるようなスキームの構築を検討中です。
また、旅行事業の商品「1/KYOTO」では清水寺の僧侶や、400年以上続く宇治の窯元 朝日焼のブランドマネージャー、茶道速水流家元など、京都の文化や伝統を継承しながら革新に挑む方々とみっちり1時間対談をしていただきます。モノを買ったり場所を巡るだけでは感じることのできない京都に息づく心に気づき学ぶ機会として、京都市内のラグジュアリーホテルのスタッフの方々にも研修のようにご利用いただいています。