[社会・地域貢献部門]
2023年度認定
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経営理念
紙に命を吹き込み 紙を想いで彩る
当社はお客様のご要望のお応えしながら、単なる商品で終わらせず、その先に使われる目的、願いまでくみ取り、紙に命を吹き込み、紙の価値を高めることに日々努力します。
特別なシーンでの感謝の品、祈りや信仰の対象物。そして大切な作品を生活空間の中でより効果的に彩るなど、当社は人の想いを品に乗せることを大切にし、カタチにしています。 -
社会課題の解決
「日々当たり前にしている仕事がこんなに喜んでもらえるんですね」
弊社は紙加工に携わって100年近くになり主に寺社仏閣へ納める商品作りをしてきた。紙加工のプロフェッショナル集団として日々手作業によるものづくりに取り組んでいるが、日本の高齢化社会と人工減少による自動化・省力化が進む中で、手作業や職人の技術に対する価値が相対的に低下している。日本人が持つ美意識の高さや古くからある細やかな職人の気配りが行き届いた手仕事が後世に受け継がれない事は日本にとって大きな社会課題だと考える。古くからある紙加工の技術承継と世の中への加工技術の周知を図る事で紙加工と職人の価値向上を目指す。
── どのような取組をしていますか?
手作業での技術がなくなりつつある今、長年培われてきた職人の紙加工技術を絶やさない為に熟練の職人に若手社員をつけて文化の承継に取り組んでいる。古いだけでなく今の世の中のニーズに合うようにオリジナルブランドを立ち上げて自社内で販売ショップもオープンした。自社工場見学ツアーとワークショップの文化体験を通じて国内・海外の方に紙加工技術を伝えることで職人技術と紙加工の価値向上に努めている。またタイの展示会(日本博)に出展やインドでテスト販売をしながら日本の紙文化を海外に発信。また海外向けのクラウドファンディングで御朱印帳などの商品作りにも挑戦している。今後は「クラフトツアー」も企画していく。
── どのような成果が生まれていますか?
ここ数年展示会で「ものを売らずに技術を売る」ことに力を入れて出展してきたが、紙加工業はなかなか伝えにくい面があった。しかし工場見学とワークショップをする事で紙加工がより分かりやすく伝わるようになり、業者だけでなく一般の人に親近感を覚えてもらえるようになった。またインドレクサスに「日本の紙加工文化は車作りのクラフトマンシップと共通点がある」と興味を持ってもらいイベント用に友禅紙を卸すようになった。また海外向けのクラウドファンディングを行ったことで実際に商品を購入した方が日本旅行時に直接弊社に引き取りに来られ実際の職人の仕事姿を見て感動をしてくれた。またワークショップでは他社との差別化として御朱印帖や和帖を作っている職人に講師として参加してもらっているが、当たり前と思っている日々の仕事に興味を持ってもらい、指導をして出来あがった商品に喜ばれている姿を目の前で見て「日々当たり前にしている仕事がこんなに喜んでもらえるんですね」という言葉も出て工場見学内時もお客様に対する挨拶の声がとても大きくなってきた。実際に作り手と触れ合う事で商品に愛着を持って使ってもらえる機会ができ、職人に取っても日々の仕事に対する高い評価を得る事に喜びを感じるようになった。 -
従業員・顧客・取引先への配慮
子育て中の方も自由に休みを取りやすい環境
昨今手作業による伝統技術は失われつつあるが、長年培われてきた紙加工の技術を絶やさない為に熟練の職人に若手社員をつけて技術承継に取り組んでいる。近年は大学と連携してインターン制度も取り入れ若手の登用にも注力している。また弊社は女性の割合が7割で先代から女性社長ということもあり、子育て中の方も自由に休みを取りやすい環境となっている。また女性特有のきめ細やかな気づきができる事がものづくりのリスクヘッジになり顧客からも喜ばれている。
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地域社会への配慮
ブランドを立ち上げ、オリジナルショップをオープン
弊社は京都の地で長く寺社仏閣向けの商品を作ってきた製造会社であるが、紙加工屋として認知度の向上を図る為「紙に美しさを加える」という意味の「KamiKami~紙加美」というブランドを立ち上げ自社敷地内にオリジナルショップを6月にオープン。国内だけでなくインバウンドも視野に入れて南区の活性化を目指し新しい観光施設になれるような展開を始めている。
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環境(未来の社会)への配慮
日本の伝統産業を海外の方や次代を担う子供達に伝える
【文化の継承・発展】弊社の紙加工技術は手作業が多く、紙加工を熟知している職人が多く紙加工のプロフェッショナル集団としてものづくりをしていることが強みとなっている。この技術を継承し世の中に周知する為、自社の工場見学と御朱印帳作りなどのワークショップを行っている。またホテルやだいまるきょうとっこ学園など日本の伝統産業を海外の方や次代を担う子供達に伝える活動も行っている。
【廃棄物等の適正な管理、再利用、再資源化】加工時に商品としては使えない紙の端を利用して作り方は正規のものと同じ技法でとても小さな御朱印帳や和帖を作り自社ショップで販売しアップサイクルに努めている。また同時にミニ和帖のワークショップも行っている。