これからの1000年を紡ぐ企業認定

[社会・地域貢献部門]

2023年度認定

こと京都株式会社

代表:山田 敏之

こと京都株式会社

農業の課題、社会の課題に多方面からアプローチ

伝統野菜である九条ネギの栽培を通して、障害者や外国人労働者などの多様な人材の活躍を実現し、廃棄資源のアップサイクルや地域の子どもたちの支援にも取り組んでいます。農業の担い手を育成し、食料自給率アップと耕作放棄地の活用を目指します。

次世代を担う人たちへのメッセージ

1300年の歴史を持つ京都の伝統野菜「九条ねぎ」。
私たちこと京都はこの伝統野菜を継承し、美味しさを伝えるとともに、農業の在り方、次世代の担い手育成、農業を通してできる社会貢献に取り組んでいます!

私たちは、「京都から日本の農業を変革し、食のゆたかな未来を創出すること」をミッションとして、歩みを進めてきました。
農業も伝統野菜も継承していく人がいなければ次世代へ続いていきません。
まず、担い手を育成するために通年インターンシップを受け入れ、農業を仕事にするというイメージを持ちやすくしています。弊社での農業はもちろん、将来的に独立したい方向けの支援制度もあり、独立後のサポートを行うことで担い手を増やし、農業というカテゴリーを元気にしたいと思っています。
同じく伝統野菜も食べられなければ衰退していきます。伝統野菜「九条ねぎ」を継承していくために子供達にも食べてもらう給食への提供やイベントでのねぎむき体験など食育にも力を入れています。
農業を通してできる社会貢献や地域創生など中小企業だからこそできる柔軟な取組の中で新しいアグリビジネスに挑戦していきます。

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  • 経営理念

    農業生産法人として人、自然に感謝し、心豊かに社会貢献します。

    1. 私たちは、自然に感謝し、食の大切さを守り農業を発展させます
    2. 私たちは、人に感謝し、社員とその家族が幸福に生活できる企業にします
    3. 私たちは、全てに感謝し、関わった人、地域に喜ばれる企業を目指します
    4. 私たちは、社会に貢献するため心豊かに仕事をします

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  • 社会課題の解決

    農業の担い手を育成し、食料自給率を上げる

    食料自給率が低い、農業の担い手が減っていることや耕作放棄地の増加などの社会的課題があります。
    京都の伝統野菜である九条ねぎの栽培を通して、新しいことを取り入れながら、伝統野菜の普及、農業の担い手の育成など農業の発展に貢献できる取り組みを行っています。

    ── どのような取組をしていますか?

    農業に携わる方の高齢化や農業は利益率が低いなどの課題があり、就農する人が減っています。現在、弊社が実践している六次産業化の経営モデルを確立することで、農業を利益の出る魅力的な職業にすることができます。視察の受け入れなども積極的に行い、新しい農業のあり方を発信することで、就農者の増加を促すことができます。
    それと同時に農業の担い手育成の為、2013年4月より独立研修生制度を制定し、通年、研修生の募集を行っています。
    独立研修生として、弊社へ入社後3~5年の研修期間で農業のノウハウや経営について学んでいただき、就農後は生産したねぎの買い上げや農地の紹介など、独立後のサポートも行っています。

    ── どのような成果が生まれていますか?

    一農家からこと京都を設立し、農業発展を掲げて経営してきたことにより、200名以上の雇用を創出し、年商19億円の売上をあげるようになりました。現在も京都の伝統野菜である九条葱を全国に広めようと様々な取り組みを行っていることにより、10年前は年間5000トンだった九条葱の市場が現在では8000トンまで拡大し、弊社で国内シェアの20%を担うまでになりました。
    2013年から始まった独立研修生制度の利用も30名を超え、現在も弊社の契約農家として取引している研修生は9名、年間の取引額は2300万円を超えています。
    こうして就農する人や市場を拡大することで、産地を増やすことができ、耕作放棄地の活用にもなっています。現在、京都府内だけでも契約農地を含め、60ヘクタールの農地で九条ねぎの栽培を行っており、他府県での産地も増やしています。耕作放棄地の増加が問題となっている地域は過疎の問題を抱えている地域も多く、そういった土地を産地として活用することで、新たな産業や雇用を生むこともできると考えています。

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  • 従業員・顧客・取引先への配慮

    外国人労働者の受け入れや障害者雇用を継続して実施

    ・障害者雇用、技能実習生受け入れ(同一労働同一賃金)
    誰もが安心して働ける職場つくりを目指して、外国人労働者の受け入れや障害者雇用も継続して行っています。支援学校やハローワークのご紹介で2週間の体験をしていただき、ご本人の意思や弊社として働いていただける場があるとなった場合は直接雇用となります。そうしてパートとして入社した障害者の方のうち今では3人の方が契約社員となって会社の戦力になっています。
    ・安全衛生委員会の開催(安全パトロールなど)
    従業員の安全や衛生管理のため、月に一回工場巡視を行い、安全で清潔な工場を維持できるよう改善を行っています。
    ・台風対策の取組(組織体制の強化)
    台風により九条ネギが倒れててしまうと何十トンという量が廃棄されてしまい、取引先にも安定供給することができなくなります。
    そのため、夏~秋にかけて台風対策強化期間を掲げ、台風情報が出ると一斉収穫や圃場での倒伏対策を実施します。自然災害だからとあきらめるのではなく、自分たちでコントロールできる部分を考えようと台風対策を立ち上げました。

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  • 地域社会への配慮

    小中学校の給食に九条ねぎを無償提供

    ・京都伝統野菜である九条ねぎの栽培技術の継承、生産者とのネットワーク ことねぎ会という京都伝統野菜の九条ねぎを継承し守る会を発足させています。ことねぎ会では品質の保持や生産技術の向上を目指し、台風対策やGAP認証など様々な情報を共有してグループとして安定した九条ねぎの生産や新規就農者の安定経営の支援をしています。
    ・京都市内小中学校給食の葱の無償提供
    九条葱は普通の葱に比べてコストが高くなる為、学校給食ではなかなか多くを導入することはできません。こと京都では次世代を担う子供たちにも京都の伝統野菜である九条ねぎを知ってもらい、伝統野菜を絶やさない為、中学校の給食で無償提供を行っています。

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  • 環境(未来の社会)への配慮

    こども食堂の支援、廃棄していた外側の葉の資源活用

    ・既存のこども食堂へキッチンカーの派遣、支援
    お取引先様である大手スーパーの駐車場で九条ねぎの普及、お取引先様の集客の為、週に5日キッチンカーを運営しています。運営日ではない日に既存のこども食堂の支援のためにキッチンカーを派遣し、運営のお手伝いをさせて頂いています。そうすることによって、九条ねぎを知っていただくことにもなり、地域との連携もうまれます。
    ・未利用資源事業(アップサイクル)産業廃棄物となる葱の残渣を紙原料として利用
    一次調整の工程で出る食品として使用することができない葱の外葉部分(原料のうちの40%)を今までは産業廃棄物としてコストをかけて処分していましたが、生産量が増えれば廃棄物の課題やコストも増加するという問題も出てきました。その中で廃棄物としてとらえるのではなく、資源として捉え新しいモノづくりとして葱でできた紙を作るというプロジェクトを始めました。今ではキッチンカーで販売しているお弁当の紙カップとして利用し、未利用資源の新しい価値を生み出しています。

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