
2024年度認定
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経営理念
京染めを未来へ繋げてゆく
着物市場は年々生産数の減少が続き、京友禅総生産量はピーク時の昭和46年度の16,524,684 反から令和5年度は245,081反と、約98.5%減少しており極めて厳しい状況に直面しています。そしてこの厳しい背景のもと、後継者不足、それに伴う職人の高齢化、生産量減少による分業工程の崩壊など、着物業界には様々な問題が山積しております。『このままでは着物の製造は維持できなくなる。伝統文化である京友禅を未来へ継承するために何か良い方法はないか?着物の技術を生かした新商品開発はできないか?』という課題認識のもと、1952年初代日根野治郎が始めた京友禅悉皆業として着物の染色を今も日々行う傍ら、2017年に自社ブランド「京都の染屋がつくった?」を立ち上げ、小幅の正絹の生地と京友禅の技術を活かしながら現代のライフスタイル、ニーズに合わせた新商品を開発して呉服以外の新たな市場を開拓しております。
・(株)日根野勝治郎商店の経営理念
(株)日根野勝治郎商店は主に「呉服用生地」を京都で染色している会社です。
日々
京染めの魅力を伝える
京染めを身近に感じてもらう
京染めの新しい価値をつくる
京染めの可能性を探求する
京染めを新しいニーズに適応させる
京染めを世界に発信する
こんなことを考えながら
(株)日根野勝治郎商店は京染めを未来へ繋げてゆく会社です。
また2016年11月には株式会社日根野勝治郎商店、株式会社関谷染色、安藤染工、株式会社美和の京友禅の染屋4社で「京友禅を世界に向けて発信する」ことを目的とした京友禅ブランド「SOO(ソマル)」を立ち上げました。
(株)日根野勝治郎商店が代表企業として、また弊社代表取締役日根野 孝司がSOOの代表として活動を行っております。
・SOOの経営理念
京友禅と同じ着物本来の製法にこだわること(品質)
着物と同じ正絹を使うこと(素材)
使っていて気持ちよく、お気に入りのアイテムになること(愛着)
SOOは時代にマッチした独創的で魅力あるデザインの上質なライフスタイルアイテムをお届けします。 -
経営理念に基づいて、具体的に取り組んでいること
伝統産業としての京友禅を未来へ継承すること
(株)日根野勝治郎商店としては京友禅の悉皆業としてこれまで通り委託加工の下請けで染色加工業を行っておりますが、「京都の染屋がつくった™」および「SOO」の取組みの大きな目標は、伝統産業としての京友禅を未来へ継承することです。
「京都の染屋がつくった™」では(株)日根野勝治郎商店がこれまで長年にわたり培ってきた京友禅の技術や絹の生地の特性を活かし、他業種とのコラボや着物以外の市場に向けたモノづくりを進めています。具体的には自社で染色した正絹の生地を活かしながら現代の生活にマッチしたアップルウォッチバンド”Chameleon Band for Apple Watch”やエコバック”KINUAZMA -きぬあずま-”を中心として様々なファッションアイテムを制作し、百貨店や専門店、コンビニエンスストアや寺社仏閣等との取引を行っております。絹の風合いと京友禅の技術を活かした生地で制作したこれらのアイテムはアイデアとデザイン力などが認められOMOTENASHI SELECTION 2021、京都デザイン賞2023、京都デザイン賞2024の各賞を受賞しています。他業種とのコラボも積極的に進めており、時計メーカーやファッションブランド等と協業により京友禅の生地をつかった新たなアイテムを生み出しています。
また「SOO」では京都ならではのギフト、お土産、アイテムとして京友禅の製品を認知してもらい、京都を訪れる日本人・外国人観光客のお土産として、京都の方に京都らしい手土産として、京友禅技法を活用し手に取ってもらいやすい京都らしいアイテムを新たに開発し、販路拡大、認知度向上に向けた取組みを実施しています。
SOOの4社は、それぞれ普段は京友禅で着物用生地の染色に従事しておりますが、自社だけでは実現不可能なことを各社それぞれの強みを生かし、4社で役割分担して事業を推進しています。本物の京友禅を着物に馴染みのない方々にも、身近な日常生活に溶け込むアイテムを届けるため「SOO」ブランドを立ち上げ、商品開発・販売・宣伝広報活動を行っております。
私たちが普段染色している京友禅の技術と絹の特性を最大限に活かし、かつ現代生活にマッチした上質なライフスタイルアイテムとして試行錯誤の末、私たちが生み出したものが、「京友禅手染め絹の眼鏡拭き”おふき”」です。
絹素材の中でも用途に適したきめの細かい着物生地を使用した眼鏡拭き。“おふき”と名付けられたこの眼鏡拭きは、着物用の38cm幅の絹の生地に着物の柄を一度染色した後、その上からさらに17cm四方の眼鏡拭きに適したサイズにデザインした眼鏡拭き用の柄を染色しています。すべての染色加工工程は、いつもは着物の染色をしている私たち4社の京都の染工場にて行っており、4社それぞれの特色を生かすために、個々に異なるデザインで染めています。パッケージにもこだわり、着物を保管しておく際に湿気より着物を守る為に入れておく“たとう紙”を“おふき”用に作りました。”おふき”の特徴は、きものと全く同じ素材を同じ染色工程で加工することで、本物の京友禅製品としてのクオリティを維持しています。高レベルのクオリティを求められる着物用生地の染色で培われた意匠・技術力、絹に染色された図柄の構図や発色、繊細さが特徴の一つです。長年の着物染色によって培われてきた私たちの伝統・感性・色彩感覚・技術を最大限に反映した商品です。また素材には、着物用正絹生地の中でも特にきめが細かくしなやかで眼鏡を拭くのに適した素材のみを選んで使用しております。正絹生地は天然繊維の為静電気が起きにくく、ほこりや塵を寄せ付けにくいため眼鏡拭きとしての機能性も兼ね備えています。
同じ柄や配色のものはなく、お客様にとって“一期一会”になるように工夫されています。また「京都でしか買えない」、「ネットでも買えない」という希少性を持たせ、京都の取扱店舗の店頭でのみ手に入れる事ができる京都ならではの購買体験を提供しています。
商品コンセプトは同様にスマートフォン拭きの”おふきmini”、タブレットPC拭きの”okkiiおふき”、指輪拭き”おふきpetit”とラインナップを拡充した”おふき”シリーズは、グッドデザイン賞2017受賞をはじめ、京都デザイン賞2018・2022受賞、おみやげグランプリ2019クールジャパン賞受賞、第59・60回全国推奨観光土産物審査会推奨品、2019年度全国伝統的工芸品公募展入選、OMOTENASHI SELECTION2019・2020受賞など高い評価を頂いております。
SOOの活動も第11回文化・ベンチャーコンペティション京都経済界賞・京都産業21賞受賞、第9回知恵ビジネスプランコンテスト認定などの評価を頂いております。 -
今後のビジョンや展望など
他の伝統産業との協業を今後積極的に進めて行きたいと考えています
私たちは小幅(約38cm幅)の正絹の生地を染色することにおいては、京友禅が世界で一番すぐれていると自負しております。多様性を持って少ロットから大ロットまで染色する技術とインフラを持つ都市は京都の他にはなく、京友禅は世界に誇るべき伝統産業だと信じています。この京都に長年にわたり根をはり、意匠力・技術力・対応力・生産能力を駆使して京友禅の一翼を担ってきた私達は、小幅の正絹生地のファブリックブランドとして(株)日根野勝治郎商店とSOOが世界中で認知され、「(株)日根野勝治郎商店、SOOの生地を使う」ことが表現手段の一つとしてアパレル・インテリアブランドに求められることを最終目的としています。
小幅の正絹生地は着物用途のみの素材ではありません。小幅の生地の着物以外の用途への汎用性についてネガティブなイメージを払拭するために、京友禅の価値を伝え正当な評価を受けることが、着物以外の様々な分野における京友禅の可能性を広げていくことに繋がると確信しています。
小幅の絹の生地には、日本人が長い年月積み上げてきた伝統・文化・感性・知恵・技術が詰め込まれています。多くの文化活動と密接に関連し、単純に着飾るという行為を超えた衣である着物は世界に誇るべき文化の一つです。この誇るべきバックボーンを着物というフィルターを一旦外し「生地」という素材として評価されることが、最終的には着物文化の再評価・着物人口の増加につながります。
2016年より百貨店との協業を始め、自社で染色した京友禅の生地を使ったライフスタイルアイテムの企画、開発、製造、販売をスタートした「京都の染屋がつくった™」。これまでは京友禅悉皆業という立場で委託加工業者として製造工程の一環の中で事業を行っておりましたが、自社ブランドの立ち上げ以降はメーカーとして製品の企画、デザインから生産計画、製造、在庫管理、取扱店舗への営業、商品の宣伝、広告、広報に至るまで自社商品を世に出し、お客様の手元に届けるための一連の流れをすべて自社で0から始めこれまで育ててきました。日本各地にある歴史と素晴らしい技術を持った伝統産業の各産地にも京友禅と同じような課題を抱えた産地が数多く存在しています。私たちが実践してきた経験を元に他の伝統産業との協業を今後積極的に進めて行きたいと考えています。
また、2017年7月に販売を開始した「SOO」の”おふき”シリーズは、現在は京都市内に約280の取扱店舗があります。百貨店、専門店、書店、宿泊施設、土産物店、寺社仏閣や日本郵便株式会社様やセブン-イレブン・ジャパン様など日本を代表する企業とも取引を行い、商品の販売のみならず事業を通じて様々な社会貢献に取り組んでまいりました。スタジオジブリなど非常に知名度が高い企業様とコラボレーションし、オリジナル商品の製作を行っております。
これまでの呉服関連企業との取引から、これまで関わることが無かった多種多様な新たな分野とのかかわりを更に一層広め、SOO、おふき、京友禅のさらなる認知度向上とブランディングを強化するための活動を積極的に進めたいと思っています。
これら”おふき”シリーズを核とした活動に加え、今後京友禅の生地をSOOブランドの生地として発信する活動も行っていきます。京友禅の伝統技法で染色したSOOの生地が、着物以外のアパレルやインテリア等の分野で素材として注目を浴び評価されることで、京都の伝統産業が注目され産地として新たなビジネスチャンスが生まれることを期待しています。
分業体制で生産されている京友禅は一社や特定の工程だけでは継続することが出来ません。産地として新たな分野を開拓することで、職人や製造業者が利益を得て地域経済が活性化することは、一産業にとどまらず京都の魅力の増大にも繋がると考えています。 -
取り組みにより、どのような社会的インパクトを起こしてきましたか
京都市、日本郵便、セブン‐イレブン・ジャパンとの「SOOの年賀状プロジェクト」
具体的なケースとして、「SOO」での取り組みを二点あげさせていただきます。
まず一点目は、京都市、セブン‐イレブン・ジャパン、SOOの三者で取り組んだ「三条大橋プロジェクト」。
老朽化した木製高欄が更新の必要な時期になっていた三条大橋。高欄更新に必要な良質木材の調達が困難で、数億円かかる費用の捻出のために京都市が寄付を募ったり、ふるさと納税の使用用途の項目に入れたりしていることを知ったのは2019年の春。今更新しないと木造での更新は不可能という事を聞き、京都市民でもあるSOOのメンバーも三条大橋の為に何かできることは無いかとプロジェクトをスタートしました。
一人でも多くの方に現状を知ってもらおうと、三者で重点的に告知活動を行いました。三条大橋オリジナル柄のおふきminiをSOOが制作し、セブン‐イレブン市内全店店舗にて専用什器での販売を通じポスターの掲示等を行っていただきました。発売当日には京都市、セブン‐イレブンスタッフ、SOOメンバーにて三条大橋にてビラを配り道行く人に三条大橋の現状を訴えました。その様子は新聞にも取り上げられ、またSOOのメンバーがテレビにも出演し、雑誌ではSDGsの取り組みとして取り上げられ、更新事業の前進に役立つことが出来たと伺っています。
二点目は、京都市、日本郵便、セブン‐イレブン・ジャパン、SOOで「SOOの年賀状プロジェクト」。新型コロナ禍の2020年よりスタートし、毎年行っている京都の新年の風物詩です。
新型コロナが流行し、人の往来が無くなった2020年。京都からも観光客の足音がぱったり消え、新年の挨拶も面と向かってすることが叶わなくなりました。京都でしか買うことが出来ない京都ならではの製品をつくっているSOOとして何か出来る事はないかと考えつくった「SOOの年賀状」。京友禅手染め絹のスマホ拭き「おふきmini」を定形郵便で送れるようにこれまでの「おふきシリーズ」のパッケージコンセプトはそのままに封筒型のパッケージに改良しました。
初年度はコロナの早期終息を願い、アマビエ柄に染色したスマホ拭き用の生地を、京都市長をはじめ日本郵便、セブン‐イレブン・ジャパンの重役方にもお集まりいただき高台寺様にてご祈祷いただきました。毎年少しずつ薄れていく日本の年賀状文化と京友禅のPRにもなったこの年賀状、コロナ禍の京都ならではの年賀状としてご好評をいただきました。
以後2022年は高台寺様、2023年は三十三間堂様、2024年は養源院様に、それぞれの寺社の特徴をデザイン、染色した生地を一年の無病息災を願い祈祷いただき、毎年京都ならではの年賀状として制作しております。
京都市内の郵便局、セブン‐イレブンにてポスターを掲示いただき、専用什器にて販売することで、伝統産業である京友禅と京都の重要な文化・観光資源である寺社、日本の正月の風物詩である年賀状のPRを毎年行うことが出来ます。
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今後のビジョンや展望により、どのような社会的インパクトが期待できますか
京都の地域課題の解決の一助となるようにSOOの活動を続けていきます
京友禅の伝統技術を使って現代のライフスタイルに合った新しいアイテムを創出することを目指し、「SOO」では京友禅手染め絹の眼鏡拭き“おふき”シリーズを京ならではのアイテムとして製作しました。京都でしか買えないギフト、京みやげとして販売を開始しましたが、最近では認知度の高まりと共に京都に訪れる観光客の方々にもお買い求めいただけるようになりました。
SOOの活動には、京友禅の魅力を広め、着物文化をより身近に感じていただきたいという強い思いが込められています。着物は単なる服ではなく、日本の文化や感性を表す大切なものです。また世界に誇れる唯一無二の民族衣装だと思っています。私たちは、SOOの製品がその美しさを広め、日本人だけでなく世界中の老若男女の方々に着物文化の素晴らしさを伝える手助けができればと願っています。
京友禅を継続的に維持するには若者に関心をもってもらうことが重要です。最近の若者は伝統文化に興味を持っていますが、日常生活で使う機会が少ないことが課題として挙げられます。SOOは、京友禅の生地を使い日常生活でも使用できるような製品をこれからも提案し続けたいと考えています。これによってより身近に感じられ、若者が関心を持ち、次の世代へと伝えていけると信じています。
またSOOでは、もっと身近に京友禅の素晴らしさを体感してもらうため商業施設や宿泊施設、地元の学校やコミュニティと協力して、京友禅の技術を学ぶワークショップも継続的に開催しています。これまで京友禅にふれたことが無かった参加者に、”おふき”の染色体験を通じて自分の手で伝統技術を学ぶことで、楽しみながらその魅力を実感できる場をこれからも更に提供できればと思っています。
どれだけ素晴らしい製品をつくり、活動を行っていても世に知られないものは存在しないことと変わりません。これまで着物に興味がある方以外に関心を持ってもらえなかった京友禅を発信するために、ウェブサイト、SNSやデジタルメディアでSOOについてのみならず普段の京友禅の仕事や着物文化の美しさを広めていきます。実際オンライン上での発信を強化してからはSOO直営店舗への来店、取扱店舗での売り上げ、ウェブサイトからの問い合わせが右肩上がりで増加しています。これからも分かるように京友禅も含めた京都の伝統産業は、京都にとってキラーコンテンツになる要素を秘めていると考えられます。露出を増やせば興味を持ってもらうことが出来る京都の多くのコンテンツを互いに協力して発信し続けることが、京都の活性化、伝統産業の維持、発展に繋がると確信しています。
現在”おふき”シリーズは京都でのみ販売を行っており、京都ならではの商品として展開を行っております。今後は、海外のファッション、インテリア分野等のブランドへのアプローチを行っていく予定です。”おふき”シリーズで培ったブランド力を武器に海外での京友禅生地の需要を開拓するべく有名メーカー、ハイブランドとの協業、コラボレーションを実現させたいと考えています。0から始めたSOOのこれまでの活動を振り返ると大手企業との取引、コラボはビジネス、活動を推し進める大きな原動力になります。今後私たちが各分野のトップ企業との取引を実現しそれが発信された暁には、SOOのブランド力の向上に繋がるのみならず、京友禅のブランド力のさらなる向上に繋がります。SOOが0からブランドを立ち上げこれまで活動して来られたのは、「京都」「京友禅」のブランド力のおかげです。この二つが無ければここまで来ることは不可能でした。「京都」「京友禅」は国内外で強力なブランド力を持っています。先人が築き上げてきたこのブランド力を活かし、さらに発展させ今後に繋げていくために新たなフィールドに向かっていきたいと思っています。
”おふき”の販売のみならず、”おふき”を通じて多くの方々と交流し活動の幅を広げられていることは、”おふき”が単なる京友禅製品のみならず人、コト、モノを繋げる媒体として機能し始めたことを表しています。京友禅で染色した眼鏡拭き用の生地でありながら、様々な分野で多くの人たちとの活動を行うことが出来るツールとなり始めた”おふき”と共に、京友禅のみならず京都の地域課題の解決の一助となるようにSOOの活動を続けていきます。 -
従業員・顧客・取引先への配慮
持続的に若い職人の育成ができる仕組みが構築できております
7年前、8年前にそれぞれ0からスタートした「京都の染屋がつくった™」と「SOO」の活動。
着物需要の減退に立ち向かうべく立ち上げたそれぞれのブランドは従来の着物関係の取引先、販売ルートと異なる販路を自らで一からつくりました。どちらも百貨店店頭でのポップアップからスタートしたブランドは、「京都の染屋がつくった™」は京都のみならず東京の百貨店や専門店での常時取り扱いに、「SOO」は今や京都市内のすべての百貨店に口座を持ち、その他大型書店、専門店、郵便局、コンビニエンスストア、生協、ドラッグストア、雑貨店、土産物店、宿泊施設、メディア、一般企業、寺社仏閣、文化施設と多種多様な業種との取引に広がっています。これらすべての取引店と問屋等を通さず直接取引を行っている事が活動の大きな特徴であり、活動していく上で大きなアドバンテージとなっています。
特にSOOでは商品の販売に重点を置いたスタンスで各取引先とやり取りを行っておりません。京友禅の現状や魅力、染屋としての普段の仕事やSOOの製品や活動に込めた想いを一軒ずつお伝えし、商品の販売だけでなく想いに賛同し共に歩んでいける方々に商品を取り扱って頂いております。
その為適正アイテムの選択からはじまり売り場づくりから販売していく際の施策なども共に作り上げており、施設ごとに什器、POP等の制作からオケージョンに合わせた施策や企画を共に立ち上げ継続的に対話を続けながら、”おふき”の販売を通じて売り場と活動を常にブラッシュアップしています。
また”おふき”は生地、染色工程、パッケージに至るまですべてが普段着物をつくる際と同じもので出来ています。着物用の生地に、着物の絵師が描いたデザインで染色型を制作したものを使用して京友禅の職人が染色し、その後の工程も着物と同じ工程をすすみます。
パッケージは着物を保管しておく際に使用する“たとう紙”をつくる職人がおふき用にリサイズしたものを制作しています。
すべて着物と全く同じ作業を行いながらSOOが企画、アイテム、販路を変えることで着物以外の需要を生み出しています。これは「京都の染屋がつくった™」にも同じ事が言えます。普段の染色工程の中で、小幅の着物用生地にファッションアイテム用の色柄を染色し、企画、デザイン、縫製、露出を工夫することで新たな販路を開拓しています。
「SOO」の”おふき”シリーズや「京都の染屋がつくった™」の各製品の製造の各工程で新たな設備や作業が必要ないことから、染色工場や職人の自宅内の工房でこれまで通りの環境で仕事が可能です。加えて「SOO」や「京都の染屋がつくった™」の取組みにおいてこれまでの着物用生地の染色以外の需要を生み出せていることで、持続的に若い職人の育成ができる仕組みが構築できております。 -
地域社会への配慮
子供たちの工房見学や型染め体験なども積極的に受け入れています
「SOO」の製品はすべて京都市内にて染色加工され、その販売においても「京都でしか買えない」「ネットでは買えない」というブランドコンセプトを持った究極の「地産地消」製品であると自負しております。
京友禅の着物はその製造工程は完全に分業化され、一つの工程の技術を向上させ、職人の技術の結集によってクオリティの高い製品を生み出す”仕組み”があります。この”仕組み”は、「地域内経済循環」を何百年も前より実践してきた証です。SOOの製品は、京都という産地だけではなく、京都ならではの購入体験を通じ販売店様にも大きく貢献できていると感じております。
地域への参画の面では、京都の中学、大学からの依頼で日根野勝治郎商店やSOOの取組みについての講義も定期的に実施しております。また工房見学やワークショップ(型染め体験)なども積極的に受け入れ、子供たちにものづくりの楽しさを説明する機会も設けております。
加えて地域課題の解決に向けて「三条大橋プロジェクト」や「SOOの年賀状プロジェクト」等では、商品の販売を通じての地域課題や地域資源の告知活動を行っており、また商品を販売した収益の一部を伝統産業の振興に繋がるよう寄付させていただいております。
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環境(未来の社会)への配慮
”おふき”シリーズは、染料に有害物質が含まれず、製品パッケージも和紙でできています
「京都の染屋がつくった™」の製品は普段着物を染色する際に合わせて染めた着物の生地を使用して制作しており、染色用の染料や生地のロスが極力出ない環境に配慮した製品であると同時に、高価な絹を京友禅の職人が手作業で染めた生地でありながら手の届きやすい価格を実現し、これまで京友禅で染色した絹の生地にふれたことのない方々にも魅力を伝えています。特にラインナップ中のエコバック”KINUAZMA -きぬあずま-”は、普段着物を染める際に出る京友禅の絹の見本布や試験布を使って作り”ECO - エコ - ”なバッグを具現化しています。
また「SOO」の”おふき”シリーズも環境に配慮した商品です。使い捨てのマルチクリーナーが多く販売されている中、おふきは洗うことで繰り返し使用することができます。天然繊維である絹本来の特性を活かした製品であることから化学繊維の製品のように帯電防止等の加工をすることなく製品としての要素を満たしており、加工による余分な環境負荷をかけることなく製品を完成させることが出来ます。
また、”おふき”シリーズは使う材料は着物そのままに着物の製造と全く同じ工程で製造できるため、新たな設備投資などの必要がなく工場に負荷がかかりません。染料には有害物質が含まれず、製品パッケージも和紙でできており、環境に対する配慮が適切に行われております。
また、職人が染色する際に使用する道具や材料などは一度購入すれば非常に長く使用でき、道具は脈々と受け継がれています。
地域に対しては、工房見学や染色体験、教育機関での講演など積極的に実施し、子供たちに伝統産業や京友禅、ものづくりの楽しさなど継続的に伝えております。危機的な状況にある京友禅の未来を誰よりも考え自社ブランド「京都の染屋がつくった™」立ち上げの他に、同業他社の4社でSOOを結成、新たな市場開拓を通じて持続的にものづくりが可能なインフラを維持・向上できるよう取組みをしております。また、伝統産業の振興に寄与できるよう寄付活動も継続的に行っております。
情報開示に関しては、ウェブサイトやSNS、プレスリリースなどを通じて積極的に「日根野勝治郎商店」と「SOO」の活動情報や京友禅、着物の情報を配信しております。
多くの企業様や行政機関からもご支援頂きながら、これからも京都と京都の伝統産業、京友禅の未来を考え、活動を継続してまいります。