宮城県仙台市 ~起業家週間「SENDAI Entrepreneur Week」~

ソーシャルイノベーションサミット2015にご登壇いただきました仙台市の白川様より、仙台市の取り組みと合わせ、サミット参加のご感想を寄稿いただきました。

 

「仙台市の取り組み」~起業家週間「SENDAI Entrepreneur Week」~

平成28年1月22日(金)から31日(日)まで、地下鉄東西線沿線を中心に、起業に関するイベントを多発的に開催する起業家週間「SENDAI Entrepreneur Week」が開催されました。
「SENDAI Entrepreneur Week」は、仙台市全体で起業を盛り上げていく雰囲気を醸成し、「起業」という選択肢を東北に根付かせ、起業への憧れを創出し、起業家を増加させ、「日本一起業しやすいまち」の実現へとつなげることを目的に初めて開催されました。

メインイベントである「SENDAI for Startups! 2016」では、基調講演にオイシックス株式会社の髙島社長を迎え、大雪の影響も心配されましたが、757名が参加する熱いイベントとなりました。髙島社長のメッセージをご紹介させていただきます。

髙島社長は、インターネットで世の中を動かしたいという思いから26歳で起業。当時は、野菜をネットで買うということが考えられない時代です。
農家から野菜を売ってもらうことも大変な中、課題の解決には「起死回生の一手」などはなく、ありとあらゆること、やる必要があることは何でもやり、そのうちの何かが功を奏し良くなっていったそうです。
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起業家としてご経験から様々なことを学ばれ、その中で大事な3つのお話がありました。

1.チーム
一番大切なのは、一緒に仕事をする仲間。チャレンジが大きいほど不安になる。苦しい時も励ます仲間がいれば気持ちが楽になる。また、チームで仕事をした方が早いし、早い段階で、自分の苦手がわかる。自分で全てやろうとせず、得意な仲間がやれば効率も良い。

2.自力本願
「国・県はここまでしかやってくれない」とか、人のせいにするのではなく、「ここまでやってくれて感謝。あとは自分たちがやる」というように、自分たちで何とかしようと、やれる範囲を広げていく方が成功する。

3.ピンチを楽しむ
問題やトラブルが起きた時、どんな態度で乗り切るかは、自分たちで選ぶことができる。ピンチの時には、大量に美味しいものを用意し、みんなでパーティーのように飲み食いする。また、「テーマソング」を決めて、大音量で流す。みんなで大合唱をしたりする。ピンチは楽しく乗り切る。
そして一番のメッセージは、「チャレンジをためらうのは、時間の無駄」。悩んだりためらったりしている時間は無駄で、早々にやると決めて、さっさとやってしまう。後悔するのは、やらなかったから。失敗してもいい。失敗し、苦労を重ねなければ、乗り越える力は身につかない。

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起業家週間の最後のイベントとなる「SENDAI for Startups! ビジネスグランプリ2016ファイナルイベント」には、200名を超える方々が参加。
基調講演にはCoCo壱番屋の創業者の宗次氏をお招きしました。ご自身の経営哲学のお話では「経営者自身が経営に身をささげる。情熱のすべてを注ぎ込む。これしかないと思います。」と参加者に向けて思いを語っていただきました。

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ビジネスグランプリ2016のファイナリストたち11名のプレゼンも、5分という短い時間にも関わらず、熱意とビジネスモデルがしっかりと伝わるもので、参加された方々は大いに刺激を受けていたようでした。
また、ファイナリストのビジネスプランには、震災のことに触れつつ、ビジネスを通じて社会課題を解決しようという社会性が高い事業が多かったのも特徴的でした。

今回初めての取り組みとして行った「SENDAI Entrepreneur Week」でしたが、期間中に12のイベントが開催され、3,388名の方にご参加いただきました。次回に向け、様々な方々と意見交換やブレストを行い、さらにイベントをブラッシュアップしていきたいと思います。

 

 

つながるチカラ~女性起業家交流会~

つながるチカラ~女性起業家交流会~

SENDAI Social Innovation Night

SENDAI Social Innovation Night

デザイン思考ワークショップ

デザイン思考ワークショップ

 


 

 

昨年京都で開催された、ソーシャル・イノベーション・サミット2015に参加し、ワークショップでお話をさせていただくなかで、自治体では情報を欲している、そして実践している私たちも常に新しい取り組み、先進的な取り組みを模索していることを改めて感じました。

ソーシャル・イノベーション・サミットのように、様々なセクターの皆さんが集まり、情報を共有し、お話ができる場が必要であり、実践者が取り組みを広く発信していくことや広域的な連携の重要性を感じました。
最近では、どこの自治体も「地方創生」というテーマで、様々な取り組みを行い、首都圏からの人材獲得・移住促進を進めています。
広域的連携というと、ライバル同士が手を組むのかという話をされることがあります。
また、起業のイベントを同時期に、多発的に開催するという起業家週間のような取り組みについても、集客に苦労するのではと言われたこともあります。

ただ、限られたパイを奪い合うのではなく、一般の人たち、関心の薄い人たちを巻き込む努力、パイを増やす取り組みをもっともっと行っていく必要があると感じています。
「起業」というテーマに関心を持つ人、応援する人、そして実際におこす人を増やしていくため、今後も「SENDAI Entrepreneur Week」のような取り組みを通じて、「起業」を東北に、さらにはこの社会に根差すように考えていきたいと思います。
最後に、貴重な機会を与えてくださった京都市の皆さん、当日お話をさせていただいた皆さんに改めて感謝いたします。

白川 裕也(しらかわ ゆうや)

白川 裕也(しらかわ ゆうや)

仙台市役所経済局産業政策部地域産業支援課 起業支援担当(主事)。
秋田県大館市生まれ。2008年東北大学卒、同年仙台市役所へ入庁。
若林区保健福祉センターにて知的・精神障害者のケースワーク業務を担当した後、震災後は独立行政法人日本貿易振興機構へ出向。対日投資部にて外資系企業の日本法人設立サポート業務を担当する他、被災地への投資促進・風評被害対策プロモーションを行う。
帰任後は、経済局産業政策部にて、企業誘致、民間投資促進特区制度企画・運営、産学連携支援、中小企業金融支援、仙台市起業支援センター“アシ☆スタ”の立ち上げなど起業支援施策の企画・運営を担当。趣味は山遊び(登山・スノボ)と写真撮影。