「自分らしさの発信」から切り拓く可能性と生き方|篠田 拓也|(株)アイトーン
誰もが前向きに仕事に向き合える環境や機会を作るため、様々な視点からより良いワークスタイルを提案する株式会社アイトーン代表取締役の篠田さん。シェアオフィス「GROVING BASE」や健康を支えるカフェ「GROVING KITCHEN」の運営、日中働く人の生活をベースに考えたコーヒーブランド「colon coffee roasters」の企画、焙煎製造など、幅広く事業を展開しています。人の想いや”その人らしさ”を大事にされる姿勢が、新たに開発されたコーヒーキットのキャッチコピー「自分だけのコーヒーを作ろう」にも表現されています。事業だけでなく、生き方そのものの可能性をどんどん広げていく篠田さん。その歩みをご紹介します。
[目次]
1. 人生の転機と起業
私の転機は、息子が生まれた瞬間でした。これから何者にでもなれる、無限の可能性を秘めた0歳児を前に、「うらやましいなぁ」と思いました。そんな自分に違和感を覚え、その気になれば今からでも何者にでもなれるのではないか、と考えるようになりました。
思い返せば、それまで自分の人生をどのようにしたいか、真剣に考えたことがなかったと気付きました。そして、勤めていた父親の会社をワガママに飛び出します。紆余曲折を経て、2015年に個人事業を開業、2016年に株式会社アイトーンを設立しました。現在、株式会社アイトーンではビル1棟をシェアオフィス、コワーキングスペース、カフェとして運営しています。また、コーヒーの焙煎所を開いてコーヒー豆を製造販売し、日本全国、そして海外への輸出も始めました。「はたらくを支える」ことを軸として、徐々に事業を多角化しています。
2. これからの時代を創る生き方とは
息子が生まれるまでの私は、目の前に用意された道を選んで進むような人生を送ってきました。同じように、深く考えずに選択しやすい道を歩んでいる人は多いと思います。その結果、他の人が決めたルールの中で、窮屈な思いをしながら生活している方も多いでしょう。もちろん、その生き方が楽だという考えもあります。しかし、今回の新型コロナウイルス感染拡大のように大きく社会が変わり、打撃を受けてしまったときに、自分の力で生活を立て直し、充実させる自信がある方はどれくらいいらっしゃるでしょうか。
私は、父親の会社を辞めた後、転職活動をして大企業に就職しましたが、肌に合わず精神的に追い込まれて、2ヶ月で辞めてしまった経歴があります。その時、「もうまともなキャリアは終わったな。」と絶望したのを覚えています。しかし、そのことをきっかけに、今までやっていたことに縛られず好きに生きてもいいのかもしれないと考えるようになりました。会計しか取り柄がなかった私が、未経験の仕事にどんどん挑戦した結果、今ではコーヒー屋を経営し、シェアオフィスで刺激的な人々と出会えています。それまでには考えられないほど楽しく働き、多くの方に喜んでいただけるようになりました。
コロナ禍の影響は未だ大きく、これまで当たり前にあった職業が消えたり、新しい働き方や仕事が増えたりと、これから数年の内に社会は激動するでしょう。その中で、「自分はこう生きていきたい」と強く思い、自身の道を自身の力で開拓していける人こそが、これからの時代を創っていくのではないかと思います。
3. 発信によって広がる可能性
2021年、私が経営するシェアオフィスGROVING BASEでは「自分らしさの発信基地」をスローガンとして掲げました。アウトプットせず考えているだけでは、世の中は変わりません。より多くの人が自分の好きなものを「好きだ!」と発信することで、好きなものや好きなことが誰かのためになったり、誰かが発信したものを受けて価値観が変わったり、そんなことが起こる場所を作っていきたいと考えています。2021年も半分が過ぎましたが、まだまだシェアオフィスはイメージ通りの形にはなっていません。しかし、私自身の行動は変わってきました。もともと計画づくりに時間をかけてしまいがちだったのですが、「とにかくやって、体感してみる」ようになり、その結果コーヒーの販売を大きく伸ばし、また、メディアなどへの露出も増えて、まさに「発信」の機会が激増しました。
私は、仕事だけでなく家族のことや趣味のことも積極的に発信しています。例えば、現在は7月から8月にかけて、経営者である私の生活と、兼業主婦である妻の生活を入れかえるということを実験的にスタートし、ブログで紹介しています。私の社長業の仕事を妻に引き継ぎフルタイムで働いてもらい、私は妻のやっていた家事全般を担当しています。身を持ってお互いの生活を体感することで理解を深められましたし、それぞれが隠れていた適性を発揮し、仕事も家庭も以前よりも良い方向へ向かっているように感じています。
趣味の面では、動画サイトで楽器演奏を披露するなど、これまでは恥ずかしいと思って避けていたことに挑戦しています。驚いたことに、最初の動画を投稿してすぐに、音楽イベントでのコーヒー屋としての出店が決まりました。他にも、これまでは顔見知り程度の関係性だった方と一緒にプロジェクトをスタートするなど、仕事にも良い影響があり、思った以上に広がりがありました。「好きなこと」「考えていること」「やってみたこと」を外に出していくだけで、どんどん世界が変わっていくという感覚があります。
4. 自分らしさの時代
コロナ禍以前から、これからは個人の時代だと言われてきました。数年前には、トヨタ自動車の社長の、終身雇用を維持するのは難しいという旨の発言が話題になりました。テレワークの普及も呼び水となり、年功序列の評価制度や労働時間を基準とした報酬体系は見直されるでしょう。これからは、自分で出した結果そのものが評価される時代になっていくと考えています。「私は、何ができるのだろうか?」と悩む人も当然増えてきます。少し視点を変えて「私は、何がしたいのだろうか?」と問いを変えてみるだけで、前向きに動けるのではないかと思います。
SNSやWEBサービスが充実し、誰でも簡単に発信が出来る時代になりました。「自分らしさ」を発信することは、勇気がいることです。みなさまが少しでも「挑戦してみよう」と思えるように、弊社の事業を通じて発信しやすい環境を作ってまいりますので、ぜひ皆様の「らしさ」を、教えてください。