インタビュー企画「ピンチをチャンスに!」【第4回】松榮秀士さん | PaKTcompany合同会社

企画主旨

第4回は、同一空間型という新しい形の個別指導塾「マナビノバ」を運営する、PaKT(パクト)の松榮 秀士さんです。松榮さんは2010年より“教育のこれから”を様々なプロジェクトで展開され、SILKが連携する学びの場「A-KIND塾」を3期生として卒業。これからの社会をふまえて、あらゆる角度から「ツクるを学ぶ環境」をとらえ、活動を進めてこられました。個別指導塾「マナビノバ」は、受験合格だけを目的とするのではなく、教える側と生徒側が活き活きとした表情で、自発的に場づくりに参加していることが特徴です。コロナの影響下においても、顧客でもある子供やその保護者と一緒に工夫しながら「ツクるを学ぶ環境」を整えておられます。

変わらない事業の軸を持ちながら、社会の変化に顧客とともに一緒に対応される姿に、感銘を受けました。 是非ご一読ください。

Q: どんな事業をされているか、簡単に教えてください。

松榮: 一番難しい質問ですね(笑)

PaKT(パクト)では「ツクるを学ぶ環境を」をコンセプトに、若者向けの勉強会やプロジェクトを行っています。これからの社会へ羽ばたく若者が学ぶ環境だからこそ、「これからの社会がどのような社会なのか」「そんな社会で頼られる人とは、どんな人なのか」を常に考え、プログラムに落とし込んでいます。

具体的には、若者向けのプログラムと、同一空間型の個別指導塾マナビノバ、「住むを面白く」を合言葉にしたシェアハウス(パクトハウス)、仙台・鎌倉・京都で多拠点同時開催している月一行動学舎や、中国の国立大学で日本語を教えるインターンシッププログラム、「留学は海外だけじゃない」を合言葉にした村・留学など、関係資本、自然資本、貨幣資本を学ぶプログラムを実施しています。

Q: 新型コロナウイルス感染症による影響はありますか?

松榮: 海外事業である中国国立大学インターンシップや、中国四川省にてパンダを育てるインターンシップ、中国の大学生が日本に来て行う講義や国際若者会議などの交流会は、軒並み中止になりました。国内事業では、大学のスケジュールが決まらないため、村・留学の募集などが先延ばしになっております。また、塾でも通塾に不安がある講師(大阪から通学等)や生徒は、自宅での授業となりました。

Q: 影響を受けて新たにチャレンジしたことと、その中で見えてきた課題や解決策を教えてください。

松榮: 同一空間型の個別指導塾マナビノバでは、通塾型からオンライン型へ移行をしました。中国の教育系財団法人との取引があったので、早い段階から新型ウイルスに関する情報を受け取っており、対応の準備ができました。対応にあたっては「これはチャンスだ」ということを仲間に伝えて準備してきました。当初は、「なにが、チャンスだ!大変なだけだ!」と反発も受けましたが(笑)

オンライン化ができると、引越しや入院などで通塾が難しくなった生徒に対しても、続けたい!という希望に対応できるようになります。また、海外の方を講師にすることもできます。中国の方とかね。

ただ、このような状況でなければ、協力を得ることは難しかったと思います。急にオンライン化するといっても、講師には、オンライン授業の実施方法について今まで不要だった研修をする必要があります。保護者・生徒も慣れないことをしなければなりません。また慣れていないために、質が下がる恐れがありますよね。

こういうご時世だからこそ、少々ミスがあっても許される。だからチャレンジできる。生徒・保護者・講師にもチャレンジを理解していただける。だからこそ、通塾型からオンライン型へ移行できた今があります。

Q: ピンチをチャンスに変えるために心掛けていることは何ですか?

松榮: 私たちの役割とはなにか。マナビノバは公教育ではなく、大きな塾でもない。だからこそ出来ることがあると早期(休校要請と同時)のオンライン化へ漕ぎ着けました。平時であれば協力を願うのが難しいことも、今はチャレンジとして捉えてもらえる環境があります。戸惑いや多少の失敗も受け入れてもらえて、スタッフや保護者さんの協力で乗り越えられる、まさに千載一遇のチャンスです。私たちの役割を客観的に捉え、社会の環境に適応させることで、事業に個性が産まれ、文化に昇華していく。今では生徒に、オンラインが楽しいと言ってもらえるようになりました。

Q: 最後に一言!(これから行いたいチャレンジ、読者へのメッセージ等)

松榮: これからさらなる自粛要請に対応するため、指導、管理も含めた完全オンライン化の準備をしています。ただのオンライン授業ではなく、子どもが笑顔で元気になるマナビノバらしいオンライン授業へ。PaKTの活動でも、PaKTらしいオンラインの使い方を実施していきます。PaKTらしさってなんだろうか。読者の方もあなたらしさを見つめ直し、環境に適応させることで事業に個性が産まれていくと思いますよ。文化まで昇華されたときに、事業ではスタッフ、お客さんを含め、なくてならない存在になっているはずです。


>記事一覧

第1回 :【第1回】中田俊さん |株式会社夢びと

第2回:【第2回】杉原惠さん |一般社団法人my turn

第3回:【第3回】篠田 拓也さん |株式会社アイトーン

松榮 秀士(SYUSHI MATSUE)

松榮 秀士(SYUSHI MATSUE)

PaKTcompany合同会社 代表社員/教育デザイナー / A-KIND塾3期生

典型的なADHDで小学生時代クラスの班に入れず、教卓よりも前に席があった。しかし、脳の発育とともに特異性も進化。360度の会話が聞こえる。人と違う観点で物事を捉え、社会の在り方・常識に疑問をもち、問題の根幹を探るように。2010年PaKTを創設。大学生が創って提案するという、仕事の本質を学ぶ機会がないまま、社会に出ることの問題に気付き、自ら環境を作る。2012年 勉強した先が見える塾「マナビノバ」を創業。利益をPaKTの活動に循環する、ソーシャルビジネス化へ。持続可能性を探る過程で地域資源の可能性に気付き、地域資源を教育資源に変える「村・留学事業」を確立。2016年国際事業スタート。公共人材大賞京都府知事賞受賞。