インタビュー企画「ピンチをチャンスに!」【第3回】篠田拓也さん | 株式会社アイトーン

企画主旨

第3弾は、株式会社アイトーン 代表取締役 篠田 拓也さん。レンタルオフィス「GROVING  BASE」を運営し、「小さな組織が集まって新しい価値を創造し続ける場所」の提供をはじめ、様々な取組をされています。家族が大好きで、多趣味(聞いたことがあるものだけでもコーヒー、ドラム、カメラ、ボードゲーム等々)で、仕事でもやりたいことに次々チャレンジされています。

常に次の手を考えている篠田さん。コロナウイルス感染拡大の影響にも即座に反応し、京都府内の感染者数がまだ2人だった3月1日の段階で、早くもウイルス感染拡大の対応と方針を打ち出されていました。

インタビューをお願いした際、「周りからも“この状況の中、篠田は何をやるのだろう”という目で見られている気がして」とおっしゃっていました。普段、ベースにある考え方にもご注目いただき、是非ともご一読ください。

Q: どんな事業をされているか、簡単に教えてください。

篠田: 働く環境作りのサポートなどをしています。シェアオフィス、カフェ、レンタルスペース、コーヒー焙煎豆の製造販売を行っています。

Q: 新型コロナウイルス感染症による影響はありますか?

篠田: 全てのイベントが中止になり、レンタルスペースの売上がなくなりました。カフェのランチ営業を休業したため、カフェ売上の9割がなくなりました。コーヒー豆の卸売営業に行けなくなりました。

Q: 影響を受けて新たにチャレンジしたことと、その中で見えてきた課題や解決策を教えてください。

篠田: シェアオフィスに関することと、カフェに関することの2つあります。

■シェアオフィス施策

弊社の運営するシェアオフィスGROVING BASE(グロービングベース)にて、入会金なし、1日単位(¥440/日)でコワーキングスペースを契約できるプランを発表しました。不特定多数の人の出入りを防ぐため、一時的に完全会員制にし、かつ、気軽に契約できる会員プランを作ることが目的です。またGROVING BASEはお子様連れのオフィス利用も受け入れています。小中学校の休校やリモートワークの推進によって、利用ニーズの高まりがある反面、感染リスクを抑える工夫も同時に実施する必要があったため、一部利用を制限しながら実施しています。

■カフェ施策

自宅で過ごす時間が増えた人向けに、コーヒー豆50gの全国無料配布を実施しました。自宅から出られずたまったストレスを、コーヒーという小さな楽しみで少しでも前向きなものに出来ればという思いで実施しましたが、結果的に良い宣伝になったようで海外からの大口注文などにつながりました。

コーヒー豆の販売事業は2020年2月から開始したところで、当初卸売を中心に戦略を立てていましたが、新型コロナウイルスの影響で小売中心に方針を転換しました。小売は手間がかかる分人件費などのコストが上がるので、まだまだ利益は安定しません。軌道にのるまでは、引き続き新たな施策を打っていく必要があると感じています。

Q: ピンチをチャンスに変えるために心掛けていることは何ですか

篠田: 大きく3つあります。

まずは「誰かに頼るのではなく、自分のことは自分で守るという意識を持つこと」。

助成金などの制度を調べる時間や資金集めの時間は極力少なくして、それよりも“今何をすれば、顧客や社員が喜ぶか”を考えることに時間を割くことで、次につながる戦略や新たな販路が生まれてきました。みんなが困っている時は、助けてもらうのではなく助けるという気持ちを常に持つようにしています。

次に「何通りもの手段を日頃から持っておくこと」。

サービス提供の場所が限定されるシェアオフィス事業、場所を限定されない通販事業。顧客との関わりが深く価格の高いシェアオフィス事業・コンサル事業、関わりが浅く低価格のレンタルスペース事業・カフェ事業。他に発信方法も、WEBサイト、SNS、広告、紙媒体と様々な方法を使っています。

「全てのはたらく人が活き活き働けるように」という軸を大事にしながら、4P(Product、Price、Place、Promotion)が多様になるよう意識し、社会と様々な形で接点がもてるようビジネスを構築しています。

それにより、状況に合わせた戦略が何パターンも作れるようになったため、不測の事態でも出来ることが多く、ピンチをチャンスに変えやすいと感じます。

3つ目は「数字を常に意識し、不測の事態に耐えられる運転資金を理解しておくこと」。

ピンチの時にすぐに行動できるように、資金繰りは常に余裕を持てるよう計画しています。投資と貯蓄のバランスをとるため、事業全体の大きな数字から商品1つあたりの細かい数字まで、日頃から分析するクセをつけ、目標設定なども大事にしています。

Q: 最後に一言!(これから行いたいチャレンジ、読者へのメッセージ等)

篠田: まずは、コーヒー豆の販売を加速させたいと思っています。今回のコロナウイルスの感染拡大によって起こる働き方などの変化は、いずれ来たであろう変化が急速に起こっているだけだと感じています。これからの働き方や暮らし方にハマる商品を生み出すことができてきたので、皆様にもっと楽しんでいただけるよう頑張りたいと思います。

もちろん弊社もまだまだ大変な時期ですが、出来ることは色々あるはずですので、ウイルスに負けず、皆様も一緒に頑張りましょう。


>記事一覧

第1回 :【第1回】中田俊さん |株式会社夢びと

第2回:【第2回】杉原惠さん |一般社団法人my turn

篠田 拓也

篠田 拓也

株式会社アイトーン 代表取締役 / イノベーション・キュレーター塾4期生