インタビュー企画「ピンチをチャンスに!」【第2回】杉原惠さん |一般社団法人my turn

世界的に拡大する新型コロナウイルス感染症により、観光客の激減やイベント自粛、キャンセル増加など京都経済は深刻な影響を受けています。一方で、それほど影響なくビジネスを継続できている企業やこれを機に新たな取組にチャレンジしている企業があります。これらの企業の取組や考え方に着目し、全国の企業経営者、従業員をはじめ多くの方に知っていただき、記事を読んだ方が前向きな気持ちになれればと思い、インタビュー記事を企画しました。

「うちも何かやってみよう」「今、こういうやり方ならできる」など、自社の取組へのヒントになれば幸いです。

第2弾は、ママのスキルをプロデュースする一般社団法人my turn 代表 杉原 惠さん。昨年度までの4年間、SILKコンシェルジュとしてご勤務いただいており、現在は、SILKフェローという形で関わっていただいています。

いつも明るく、一緒にいる人を笑顔にする杉原さん。コロナウイルス感染拡大の影響により感じた「家族の在り方」の変化や、ご自身の気持ちの持ち様など、この状況をどう受け止めているかお聞かせいただき、心が晴れやかな気持ちになりました。是非ともご一読ください。

Q: どんな事業をされているか、簡単に教えてください。

杉原: 2015 年から、子育て中の女性のスキルを社会に伝えるべくイベントを開催したり、お母さん同士の学びの場を作っており、2017年に、my turnというお母さんたちのライフワークチームを立ち上げました。

お母さんたちをきっかけに、社会をwell-being(身体的、精神的、社会的に良好な状態)にするべく、2020年4月(15日 設立予定)から、一般社団法人として、月1回の塾の開講、お母さんたちと企業や地域の方々とのコラボレーション、コンサル事業、元CAを中心としたリモートアシスタント業務を事業化していく予定です。

自分自身も含め、結婚や出産によってそれまで自分が培ってきたスキルが、子育て中はついつい忘れ去られがちで、いざ活かしたいと思ったときには何をどうしていいのかわからない状況になってしまいます。

加えて、世の中の情報が便利すぎるほど溢れていて、「~すべき」論にとらわれて苦しんでいるお母さんをたくさん見てきました。

それぞれ自分のスキルに誇りをもって取り組んできた経験があるにもかかわらず、日々の忙しさで自分の生き方や働き方を見失い、モヤモヤしている女性がたくさんいることに課題を感じ、このお母さんたちのマインドが変われば社会がより良くなるに違いない、と思った事がmy turnのはじまりでした。

まずは身近な子育て中のお母さんたちの隠れている「良さ=スキル」を、子育てがひと段落する前に引き出して、それに気づいてもらうことが私の「生き方=働き方=my turn」です。

Q: 新型コロナウイルス感染症による影響はありますか?

杉原: 私たちは、子育て中のお母さんのチームなので、3月に入り、世の中も年度末で慌ただしくなる中での「一斉休校措置」の発表には、非常に困惑しました。私を含め、メンバーは個人事業主が多く、自宅を職場にしていることが多いので、モノづくりも、施術も、リモートアシスタントも、休校開始からほぼ毎日、子供と一緒に仕事を行ってきたお母さんが多いです。最初は子供との過ごし方と仕事の進め方のバランスに親子でストレスを感じることもありました。

Q: 影響を受けて新たにチャレンジしたことと、その中で見えてきた課題や解決策を教えてください。

杉原: 一斉休校措置が発表されたことで、子どもといる時間が圧倒的に増え、始まる前は正直不安しかありませんでした。食事もきちんと3食準備しないといけない、規則正しく生活をさせなければならない、学習をどう進めたらいいのか、と無意識に「~べき」論にとらわれて親子でストレスを感じる日々が始まりました。

しかし、この先春休みも控えていて休みは長期化するのに、このままじゃ子どもも私も潰れてしまうと思い、状況をありのまま受け入れて、この状況の中で私たち家族にプラスになることを考えてみよう、と考え方を変えてみました。

こんなに長時間子どもと一緒にいる時間は滅多にないので、普段時間をかけられないことに時間をかけてみよう、と朝ごはん作りやお菓子作りを子どもと一緒にしたり、任せてみたり、寝たいだけ寝させてみたり、子どものやりたいようにできる時間を数時間だけでも確保しました。

そうすると、いつもは見えなかった(見ていなかった?)子どもの成長を感じたり、会話の時間が増えたりと、当初困惑していた長期休みも悪くない、と思えるようになりました。

どうしても仕事に集中したい時は、学校に預かってもらったり、祖父母に頼んで子どもをみてもらったりと、自分一人で抱え込んでストレスを溜めるより、家族や周囲に頼りながら過ごすことを躊躇なく選択しました。

また、私の周りの共働き世帯にも変化が生まれています。

大手企業が素早く在宅ワークを推進し、時差出勤等の選択肢が増えることで、お父さんの家庭での過ごし方が変わる気がしています。家族との時間が必然的に増え、ケーキや、持ち帰りの食材を買ってみんなで過ごすという、今まではなかった時間の余裕で、心が豊かになることを実感している方も多いのではないでしょうか。これを機に、家族の在り方さえも変化していくと感じています。

Q: ピンチをチャンスに変えるために心掛けていることは何ですか?

杉原: スピーディーに気持ちの切り替えができるよう、日ごろから自分のワクワクできるポイントを押さえておくことです。落ち着くために、まず好きなお菓子を食べて思考をすっきりさせる、等。ピンチにもいろいろな種類があると思うのですが、自分の力ではどうしようもないことが起きたときこそ、ピンチから逃げるのではなく、どれだけ早くピンチの裏側にあるチャンスを(なるべく多く!)見つけて行動できるかを意識しています。

Q: 最後に一言!(これから行いたいチャレンジ、読者へのメッセージ等)

杉原: 今、先の見えない時代が来ているので、みなさんも不安に感じておられることと思います。

しかし、これからは「自分を活かして生きる時代」だと前向きに思っています。そして、my turnはあらゆるコミュニティで「イキイキデザイン」を創造していきます。

こんな状況だからこそ、自分のための時間を持ち、生き方や働き方をじっくり考えてみることも、ピンチをチャンスに変えられるきっかけになるのではないでしょうか。まずは、自宅での時間を大切に過ごしてみてはいかがでしょうか。今あるピンチを、職種や世代を超えて乗り越えていきたいです!


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杉原 惠

杉原 惠

一般社団法人my turn (2020年4月15日設立予定)代表/ プロデューサー

子育て中のお母さんのスキルを社会につなぐ場や機会をつくる仕掛人。客室乗務員(CA)として勤めたのち、出産後、退職。肩書も収入もなくなり、女性のキャリアの活かし方に悩んだ経験から、2017年起業。 子育て中だからこその視点や時間の使い方に価値を感じ、企業から業務を請け負い、育児中の元CAが在宅で働ける仕組みをつくる。 一方、自分の周りに、ものづくりなどの高いスキルを持った母親が多いことに気づき、彼女たちが活躍できる場をつくる。 定期的にマルシェを開催したり、企業と協働して商品開発などにも取り組む。

女性として、仕事も子育ても自己実現もオシャレも諦めたくない母親たちが集まるmy turnコミュニティで、企業や社会、地域で活躍できる場を多数生み出している。子育て世代の女性の孤立や貧困を生み出さないビジネスモデルの確立に向けて日々挑戦中。