SILK流!プレミアムフライデー インタビュー企画【第17回】北村記世実さん | パレスチナ・アマル

ワークとライフをバリっと分けて、余暇を充実させるのも素敵ですが、イキイキできる好きなシゴトを通して人生を充実させ、充実した人生をまたシゴトに活かしていくことで、色とりどりの社会をつくる、という生き方をSILKは応援しています。

毎月のプレミアムフライデーに「ワークライフミックス」の生き方を考えるきっかけにしてもらえたらと思い、2017年2月より毎月、インタビュー記事を掲載しています。

第17回目は、パレスチナ伝統刺繍を通じてパレスチナの伝統文化の周知や、女性支援をされている、パレスチナ・アマル 北村記世実さんです。北村さんがクラウドファンディングにも挑戦しながら目指している未来とは?ぜひご一読ください。

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Q: どんな仕事をされているか、簡単に教えてください

北村: 「パレスチナのモノでおしゃれを楽しむ」がコンセプト。パレスチナの伝統工芸品の販売を通じて、現地の伝統や文化をお伝えしております。
扱っている商品は、現地に唯一残る織物工場で、日本製の織機で作られる最後のパレスチナ織物「ラスト・カフィーヤ®」や、国連(UNRWA・国連パレスチナ難民救済事業機関)のパレスチナ刺繍プロジェクト「UNRWA・Sulafa」の刺繍製品などです。

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「どうしてパレスチナの商品を扱うことになったの?」と、よく聞かれるのですが、1999年に医療系NGOに参加して、ガザのPRCS(パレスチナ赤新月社<アラブ版赤十字社>)でボランティアをしたのがきっかけです。シビアな環境の中でも、明るくホスピタリティーに厚いパレスチナの人々の人間性の高さに魅了されました。一時は看護師として貢献できればと看護学校にも入学したのですが、あえなく挫折。その後、文化的にも豊かなパレスチナ刺繍をもっと一般に流通させることができればと思い立ち、2013年にパレスチナ・アマルを起業しました。
今は特に、「UNRWA・Sulafa」のパレスチナ刺繍の商品開発に取り組んでいます。
「Sulafa」の作り手は、未亡人や離婚されたような社会的に弱い立場のガザの難民女性300人。失業率が44%と高いガザにおいて、貴重な収入源です。パレスチナ刺繍は、その模様を見ただけでどの地域で作られたかがわかるような伝統工芸品であり、母から娘に代々伝えられるアイデンティティーの象徴でもあります。その中でも「Sulafa」は世界各国から影響を受けた150種類の刺繍のモチーフがあり、パレスチナ刺繍の中でも高品質な美しい刺繍製品が生み出されています。

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しかし、今年はじめに、国連(UNRWA)へのアメリカからの拠出金が半額凍結され、「Sulafa」の活動継続が危機的状態となっています。ただちに影響がでるというわけではないそうですが、日本からの需要が高まれば、活動継続も可能だということで、その資金をクラウドファンディングで募り、SILKからもサポートを受けて、日本人向けの商品開発に取り組んでいます。

Q: 仕事している時と生活している時、共通して大切にしていることは何ですか?

北村: 「絶対にあきらめないこと」を大切にしています。
私は高校生の頃から「Where there is a will, there is a way」(意志のあるところに道はある)という言葉が好きでした。パレスチナと関わって19年になりますが、まさか19年前にガザで購入し、ずっと愛用してきたUNRWA・Sulafaのパレスチナ刺繍のショールを、自分が販売するようになるとは思ってもみませんでした。
人生って、おもしろいですよね。「あきらめないこと」の大切さを教えてくれたのは、ガザの友人たちですが、こうした形でガザに貢献できるのは、本当に幸せなことだと思います。

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Q: 仕事をしていて特にうれしいと思うときは?

北村: パレスチナ製品を手にしたお客様が「素敵だね!」と喜んで下さった時ですね。
パレスチナ・アマルが扱っている商品は、単なるフェアトレードの品ではなく、本当に自信をもってお届けできる商品です。

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先日も、オンラインストアでラスト・カフィーヤを御購入下さいましたお客様から「支援のつもりだったけど、思いがけず素敵な商品でした。愛用しますね」という声を寄せて下さいました。百貨店などでの催事でも、「パレスチナ刺繍、はじめて見たけど緻密で綺麗ね」という声を伺うにつけ、パレスチナの伝統の美しさをご紹介することができて、とてもうれしく思います。
ラスト・カフィーヤの職人も、UNRWA・Sulafaの作り手のガザの難民女性たちも、誇りをもって商品作りを行っています。商品のストーリーも大切にしていますが、「品」としても魅力的で品質の高いものなので、もっとたくさんのお客様にお届けできるよう尽力いたします。

Q: 仕事や人生を通じて実現したいことは何ですか?

北村: 私が仕事や人生を通じて実現したいこと、それは「中東和平」です。
私はすでにこの仕事を通じて夢をひとつ叶えることができました。それは「再びガザに行くこと」でした。ガザは11年間イスラエルによって完全封鎖されており、入域できるのは国連関係者か、許可を得たジャーナリストか、一部のNGO関係者のみです。「私のような一般人は一生ムリだろうな」と思っていたところ、UNRWA・Sulafaの刺繍製品を扱うことになったご縁で、昨年ガザに入ることができました。入域できたのは、SulafaのブランドブックやHPを作るために募ったクラウドファンディングをサポート下さいました、150人のサポーター様の後押しがあったからこそだと思います。本当に感謝しています。
次の挑戦は、先に述べましたようにSulafa製品の日本向けの商品開発です。ガザの難民女性たちの作るパレスチナ刺繍はとても高品質なのですが、日本のニーズをフィードバックして商品作りを行う必要があります。刺繍づくりは彼女たちにとって、生活のためだけでなく、誇りや生きがいでもあります。彼女たちの美しい刺繍が、日本のみなさまの生活に彩を添え、少しでも彼女たちに心を飛ばして下さる方が増えれば良いなと思います。そうした想いが、平和な世界につながるのではないか、と期待しています。


[ SILK流!プレミアムフライデーインタビュー ]

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第16回: 雪田恵子さん 特定非営利活動法人寺子屋プロジェクト

第15回: 小牧佐和子さん 学び場 とびら

第14回: 秋山怜史さん 一級建築士事務所 秋山立花 代表

第13回 :杉原惠さん SILKコンシェルジュ

第12回 :吉田大輔さん (株)津乃吉 代表

第11回 :篠原佑さん (株)フラットエージェンシー 営業

第10回 :田中雅大さん (株)ヘルプ

第9回 :米沢和也さん (株)アラキ工務店 現場監督

第8回 :小田起世和さん 認定NPO法人テラ・ルネッサンス

第7回 :粟坂太蔵さん 株式会社食一

第6回 :ヒトミトモコさん (有)シサム工房

北村記世実

北村記世実

パレスチナ・アマル 代表