SILK流!プレミアムフライデー インタビュー企画 【第8回目 小田起世和さん(認定NPO法人テラ・ルネッサンス)】
ワークとライフをバリっと分けて、余暇を充実させるのも素敵ですが、イキイキできる好きなシゴトを通して人生を充実させ、充実した人生をまたシゴトに活かしていくことで、色とりどりの社会をつくる、という生き方をSILKは応援しています。
毎月のプレミアムフライデーに「ワークライフミックス」の生き方を考えるきっかけにしてもらえたらと思い、2017年2月より毎月、インタビュー記事を掲載しています。
第8回目は、「これからの1000年を紡ぐ企業認定」第二回認定企業であり、世界平和の実現を目的に、地雷除去支援、村落開発事業、紛争被害者の社会復帰支援を実施している認定NPO法人テラ・ルネッサンスの小田起世和さんです。人生のミッションは「デザインの力で世界を平和にすること」。常に問いを立てながら行動し、社会を良い方向へ変えていける仲間を着実に増やしている小田さんのインタビュー。ぜひお読みください!
Q: どんな仕事をされているか、簡単に教えてください
小田: 認定NPO法人テラ・ルネッサンスで、パブリック・リレーションズチームのマネージャーを務めています。もともとの専門分野はデザインなのですが、現在では、活動報告書などの企画・制作をはじめとする広報活動だけでなく、事業実施に必要なファンドレイジング(活動資金の調達)をメインとした仕事をしています。
私たちテラ・ルネッサンスは、カンボジアの地雷撤去支援をはじめ、アフリカで紛争に巻き込まれた元子ども兵士の社会復帰支援などに取り組む国際協力NGOです。現場での直接的な支援と、日本国内における啓発(平和教育)および、政策提言に取り組むことによって、組織の活動目的である「すべての生命が安心して生活できる社会(=世界平和)」の実現を目指して活動しています。
Q: シゴトと生活において、共通して大切にしていることは何ですか?
小田: 「明日の約束はどこにもないから、いまここを大切に生きる」という考えを大事にしています。
2011年に起きた東日本大震災は、私の価値観を大きく変えるような出来事でした。当時は、まだ熊本の大学に在籍していたので、その時点では、震災を自分事として捉えづらかったというのが、正直な気持ちです。ところが、同じ年に就職した東京のデザイン会社が4ヶ月で倒産したことによって、その気持ちに変化がありました。
当たり前だと思っていた日常が、一瞬にしてそうではなくなってしまう。これが、私にとって震災と重なるような出来事となり、先述の考え方を大切にするようになりました。
仕事でも、普段の生活でも、明日が当たり前にあると思うのではなく、いま目の前にある様々はことに、丁寧に向き合おうと思っています。
Q: 仕事をしていて特にうれしいと思うときは?
小田: 色々ありますが、今はやはり、テラ・ルネッサンスで仕事ができることそのものが、一番うれしいことだと感じています。その理由は、自分の能力や限りある時間を、平和のために行使することができ、それが大きな喜びだと感じているためです。
私は、大学でデザインを学んだあと、東京のデザイン会社に就職しました。憧れだったデザイナーという職業につき、担当した案件では、東京駅で売られるような和菓子のパッケージデザインや、Loftに並ぶような手帳をデザインしたこともあります。ですが、なにかしっくりこなかったんですよね。デザインしたことに対する実感や感覚がないというか。
そもそも、私が平和に関心を持ったのは、高校生の頃でした。出身が長崎県なんですけど、お婆ちゃんが被爆者で、それでいくと私は被爆三世だったんですね。高校生ながら、なんで長崎に生まれたんだろうとか、そんな意味を考えるようなことがあって。そこから、高校で同じクラスだった親友が所属していた平和活動に参加するようになりました。きっと、その意味を見つけたかったんだと思います。
高校を卒業した後は、熊本の大学へ進学し、以前から興味のあったデザインを勉強することにしました。これらのことから、将来には漠然と、デザインと平和を掛け合わせるような仕事がしたいと考えるようになっていきます。
ですが、就職活動や会社の倒産などを経て、その気持ちが見えづらくなっていた時期があり、とても苦しかったです。本当にやりたいデザインってなんだろう?という。これが、デザインの実感や感覚の無さの正体でした。
その後、京都へ移住し、知人の紹介でテラ・ルネッサンスの鬼丸と出会うことになります。以降、個人事業主としてテラ・ルネッサンスの外部デザイナーとなり、様々な広報物をデザインしていきました。
この仕事を繰り返すうち、大学生の当時に漠然と抱いていた「デザインと平和を掛け合わせるような仕事」という夢を、思い出すことができました。私にとって大切だったことは、平和のためにデザインの力を行使することだったのです。
少し長くなってしまいましたが、そのようなことから、テラ・ルネッサンスで仕事ができること自体に、有り難さや嬉しさや、たくさんの喜びを感じています。
Q: 仕事や人生を通じて実現したいことは何ですか?
小田: 私は、人生のミッションに「デザインの力で世界を平和にすること」を掲げています。ですが、それは必ずしも、グラフィックやプロダクトという手段だけを意味しているわけではありません。
事実、私は現在、その時間と能力の多くを、ファンドレイジングに費やしています。私にとって、ファンドレイジングもまた、広義のデザインに含まれると感じているためです。
寄付や支援をあつめることにおいて、そのプロセスには、コニュミケーションのデザインが配されています。どうやったらテラ・ルネッサンスの価値を正しく届けることができるのか、そこに共感や感動を巻き起こすことができれば、結果として寄付や支援を集めていくことができるのではないか。
ファンドレイジングは、これまでのデザインとは全然違う分野で、はじめてのことも多く、正直たいへんだと感じることも多々あります(笑)ですが、一番には目に見える面白さがあるんですよね。支援が増えるということは、それだけ社会を良い方向へ変えていける仲間と出会えたっていうことで、私としては、ここにデザインの力が働いたんだなと考えることができるので。
近い将来でいえば、先10年以内にテラ・ルネッサンスを国内No.1のNGOブランドにしたいですね。人生を通していえば、平和のためにデザインの力(自分の役割)を行使し続けていたいと思います。
* テラ・ルネッサンスからのお知らせ *
・毎月2回、京都オフィスにて活動説明会「てらこや」を開催しています。少人数・対話型で、テラ・ルネッサンスの活動説明会を聞きながら、講師をはじめ参加者のみなさんと一緒に、平和や社会貢献について考えるイベントです。イベント詳細は、ホームページに記載がありますので、ぜひ一度ご参加ください。
http://www.terra-r.jp/news/event/terrakoya.html
・テラ・ルネッサンス活動紹介動画「平和のはちみつ アマロホハニー」にて、小田さんのアフリカでの取り組みをまとめた映像をご覧いただけます。是非、ご覧ください。
[ SILK流!プレミアムフライデーインタビュー ]
第7回 :粟坂太蔵さん 株式会社食一
第6回 :ヒトミトモコさん (有)シサム工房
第5回 :奥村咲華さん Dari K(株)
第4回 :益田晴子さん (株)IKEUCHI ORGANIC 店長
第3回 :田房夏波さん (株)和える 店長
第1回 :山中はるな SILKコーディネーター