“優しさ”の輪を広げる企業 ・プレマ株式会社 / 京都寄り道推進室 × 1000とKYOと スペシャルインタビュー #4

京都の大学生が主体となって「これからの1000年を紡ぐ企業認定」の企業を紹介していく「京都寄り道推進室」より、プレマ株式会社さんへのインタビューをご紹介します!

はじめに

京都に住む前は「京都の商店街といえば錦市場」だと思っていた私ですが、初めて三条商店街を歩いたときにそのイメージが一変しました。全長800mのアーケードを誇る大きな商店街で観光客と住民が混ざり合ってお買い物を楽しんでいる様子が、とても印象的だったからです。

そのような商店街に溶け込み、人々を惹きつけるお店があります。それは、プレマ株式会社です。

プレマ株式会社では、素材にこだわり、自然食品や健康・環境対応雑貨を販売しています。また、ヴィーガンやアレルギーのある人たちにも「おいしいもの」を届けるために飲食事業も展開。三条商店街内の5店舗を運営するだけではなく、その活動は大阪、滋賀、東京、沖縄、上海にまで広がっています。

三条商店街には、食べ物を提供する店舗として

Premarché Gelateria(プレマルシェ・ジェラテリア)
Premarché Cacaolate Lab(プレマルシェ・カカオレート・ラボ)
Premarché Alternative Diner(プレマルシェ・オルタナティブ・ダイナー)

の3つに加え、、自然食品を販売する Premarche Organics(プレマルシェ・オーガニクス)、イベントなどを行う「プレマルシェ京町家」があります。

今回は、「Premarché Gelateria」と「Premarché Alternative Diner」にうかがいました。迎えてくださったのは、プレマ株式会社を立ち上げた代表の娘さんでもあり、プレマルシェ・カカオレート・ラボ チーフの中川愛さん。我が子の成長を見守る母のように、店舗や商品のことを楽しそうにお話しする様子に、こちらのわくわくもとまりません。

京都を拠点に多くの人々に商品を届けるプレマ株式会社。素材にこだわる姿勢や、人を選ばない商品の奥にある秘めた思いを探ります。

母校の自由学校で教員を経験し、
プレマ株式会社に入社したという中川さん。

“ 優しさ ” が含まれたおいしさ

色とりどりのジェラートが並ぶ「Premarché Gelateria 京都三条本店」。

ヴィーガンやノンミルクジェラート、スーパーフードや伝統素材を生かしたフレーバーまで、スイーツを安心して楽しむことができる場所として2017年にオープンしました。見た目の華やかさに心が踊るだけではなく、商品名にも目を奪われます。「京都新ヴィーガンチーズ風 白味噌仕立て」、「精進ヴィーガン The 和・ラムレーズン」といったこだわりが詰まった名前たち。どれも捨てがたくて、なかなかオーダーを決められません。

フレーバーごとに、
アレルゲンや素材の表示まで施されている。


珍しい名前のフレーバーを選んでも、一口めから不思議と安心感があり、しっかりとした個性を持つ味が滑らかに体に馴染んでいきます。

私たちはこの日、店舗に足を踏み入れた瞬間に、商品へのこだわりを肌で感じました。その理由の1つには、プレマ株式会社に関わる人全員がミッション・ビジョンを大事にしていることがみえてきました。プレマ株式会社では、

「あなたがして欲しいように
その人にも、してさしあげなさい」

ということをアクションに掲げています。

それを「Premarché Gelateria 京都三条本店」で実践するということは、「自分が健康に良い食べものを食べたいと思うので、そのような商品をできるだけ多くの人に提供すること」だと中川さんは話します。

「自分が食べたいと思うものを人に商売として届けることはすごく難しいです。でも、私たちの商品を気に入ってくれた人たちがまた他の人たちに紹介してくれたり、何度もお店に通ってくれたりするんです。こうやって、幸せの輪が広がっていけば嬉しいなと思って日々頑張っています。」

「自分がしてほしいことを相手にしてあげる」という思いは、商品の素材の1つになっていると感じました。ジェラートを口にしたとき、ひんやりとした舌触りになぜか温かみを感じたのは ”優しさ” のおかげかもしれません。

自然と笑顔が溢れます 🙂

良いものは、京都から国境を越えていく

1999年に会社を設立し、今や世界中の人たちにまで商品を届けるプレマ株式会社。三条商店街の店舗では、地元の人だけでなく遠方から訪れる方々もお買い物を楽しんでいるそうです。

「三条会商店街は地元に根ざした商店街だと思います。それだけではなく、昔からあるお店と私たちのような新しいお店も混ざっているので、京都の商店街の中でもすごく活気があると思います。こういう商店街がさらに活気付いていくといいなと思っています」と笑顔で話す中川さん。

見覚えのある立て看板…
しかし左側の少年の手、Tシャツ、表情に注目👀


地域を大切にする姿勢は商品にもあらわれています。「商品の質を突き詰めていくと、その土地で昔から大切に継承されてきたものに行き着くんです」と話します。

例えば、「京都新ヴィーガンチーズ風 白味噌仕立て」は、京都発祥といわれる白味噌が使われています。さまざまな白味噌で試作し、イタリア発祥のスイーツ「ジェラート」と、日本ならではの和の素材がうまく合わさったものを使用していると言います。

多くの人に商品を届けたいからこそ、まずは目の前の人たちや地域に目を向けるスタンスは、商品や思いに正面から向き合い続けてきたために生じている原点回帰なのではないでしょうか。

そして、その思いが世界にも広がり、プレマ株式会社は「Premarché Gelateria 京都三条本店」をオープンして約2年後にイタリアで行われた国際ジェラートコンクール(イタリアジェラート協会 SIGA)の2部門で入賞を果たしました。

「商品の質にこだわることは、国境を越えることにも繋がります。良いものはちゃんと人に伝わるんです。」

お店の前ののぼり旗

“ 心の薬 ” を目指して

「私たちは、商品のことを “心の薬” と呼んでます。それは、どんな人であっても、自分たちが作っているものを受け取ることで、笑顔になってほしいと思っているからです」と、優しい笑顔で話す中川さん。

プレマ株式会社の商品は、つくり手の思いをのせて人から人へと届けられていると感じます。その思いが人に伝わった瞬間を目にすることができるのが、実店舗での接客であり、やりがいに繋がっていると中川さんは話します。

「あるとき、病気やアレルギーを持っているためジェラートを食べることができなかった人が、初めて私たちのジェラートを食べて泣き出してしまったことがあったんです。そのような奇跡的な瞬間に立ち会えることは、普通の飲食店ではなかなかできない体験だと思うんです。一から自分たちが積み上げてきたものでお客さんが変化するのを目の当たりにすると、この瞬間のために頑張っていることを再確認できます。」

立ち上げから中川さんが必死に育て、守ってきた「Premarché Cacaolate Lab
プレマルシェ・カカオレート・ラボ」

最後に、思いの1つとして、若い世代へのメッセージを受け取りました。

「失敗が許されるうちに諦めずに、いろんなことに挑戦してほしいです。私も、現状維持では満足しないように、とにかく止まらず、新しいことに挑戦し続けることをモットーにしています。」

最後に

プレマ株式会社は、“優しさ” の中に芯の強さを感じる、言葉と商品に溢れていました。
それらを受け取ることができたとき、私たちの手によって京都から広がる幸せの輪を、より多くの人々で囲むことができるのではないでしょうか。

撮影・取材にご協力いただきありがとうございました。

インタビューの様子

○ プレマ株式会社

素材にこだわり、自然食品や健康・環境対応雑貨を販売。また、ヴィーガンやアレルギーのある人たちにも「おいしいもの」を届けるために飲食事業も展開。

プレマ株式会社

○ 1000とKYOと

1000年先に続く持続可能な社会をつくろうとする企業と若者たちとが新たに出会い、対話・交流し、協働しながら、これからの働きかた・生きかたをともに探索するプロジェクト。

ABOUT 「私たちが紡ぐ、これからの1000年。」について| 私たちが紡ぐ、これからの1000年。

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